欧州委、シェンゲン圏の出入国で利用できるデジタル身分証明書の発行提案

(EU)

ブリュッセル発

2024年10月15日

欧州委員会は10月8日、シェンゲン圏(注)への出入国の際に利用するパスポートやIDカードといった旅行用身分証明書をデジタル化する法案を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この法案は、シェンゲン圏の出入国管理をより円滑かつ迅速にすべく、EU域内で共通するデジタル旅行用身分証明書の枠組みを設定するもの。

デジタル化の中心となるのが、「EUデジタル旅行アプリ(EU Digital Travel application)」だ。アプリは既存の旅行用身分証明書に保存されたブラック ジャック ブラック クイーンをデジタルブラック ジャック ブラック クイーンとして記録するもの。携帯電話への保存や「欧州デジタルIDウォレット」(2023年11月13日記事参照)への追加が想定されている。アプリの利用は任意で、EU加盟国の国籍者だけでなく、生体認証パスポートを利用する域外の国籍者も利用することができる。

利用者はアプリを用いて、既存のパスポートに基づいてデジタル旅行用身分証明書を作成し、事前に加盟国当局に提出することで、出入国審査の時間を短縮することができる。ただし、アプリを利用する場合でも、出入国審査の際には既存のパスポートの携帯が必要となる。

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会が法案を採択すれば、2030年にもシェンゲン圏の出入国時にデジタル旅行用身分証明書の利用が可能となる。

遅延が目立つEUの出入国管理デジタル化

欧州委は10日、域外の国籍者のシェンゲン圏での短期滞在時の出入国記録について、これまでの出入国スタンプによる管理から、電子管理に変更するシステム(EES, Entry/Exit System)の運用開始を再度延期すると明らかにした。EESは、参加国の準備不足を理由に運用開始が既に数回にわたって延期されており、8月にようやく11月10日の運用開始が正式に発表されたばかりだった。欧州委は、ドイツ、フランス、オランダで準備がいまだ完了していないとして、EES運用を全参加国で一斉に開始する方針から、今後は段階的な開始を目指すとしている。ただし、段階的な開始には法改正の必要性も指摘されており、運用開始のめどは立っていない。

(注)シェンゲン協定参加国は、キプロス、アイルランドを除くEU加盟国に、EFTA加盟国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)を加えた29カ国。ただし、ルーマニアとブルガリアについては、空路と海路のみ圏内の出入国管理が廃止されている(関連ブラック ジャック カード)。

(吉沼啓介)

(EU)

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