総選挙や政治的暴力疑惑に対して抗議活動が活発化
(モザンビーク)
マプト発
2024年10月22日
モザンビークで10月9日に投票が行われた大統領・国会議員・州議会議員選挙をめぐり、モザンビーク政府と政権与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)に対する抗議デモが活発化する兆候を見せている。
モザンビークでは2023年の地方自治体選挙後に、与党寄りの得票操作など、選挙不正に対する抗議デモが首都マプト市を含む全国で繰り広げられた。地方選でマプト市長候補として野党から立候補(落選)した有力政治家のベナンシオ・モンドラーネ氏は、一連の抗議活動で民衆からの大きな支持を得た(2024年1月22日記事参照)。今回の選挙でも、大統領候補として立候補したモンドラーネ氏を軸に抗議の波が広がっていくものとみられ、状況悪化が懸念される。
大統領選挙はFRELIMO優勢()が暫定結果として伝えられているが、モンドラーネ氏は独自の並行集計で自身が勝利しており、不正により結果がゆがめられていると主張している。同氏は10月16日に北部ナンプラ州で抗議デモを行い、メディアに対し選挙結果に関する疑義を憲法評議会に上訴する準備を進めていることを明かすなど、本格的な抗議活動を開始した。モンドラーネ氏は得意とするSNSを活用したPR戦略で、抗議を目的とした全国ストライキ(ゼネスト)を10月21日に実施するよう呼びかけていた。しかし18日深夜、マプト市内でモンドラーネ氏陣営のエルビノ・ディアス弁護士ほか1人の野党関係者が殺害される事件が発生した。ディアス弁護士は、モンドラーネ氏の顧問弁護士を務め、憲法評議会への上訴準備などで中心的役割を担っていたとされる。
この事件は国内外に大きな波紋を呼び、在モザンビークの米国、ノルウェー、スイス大使館およびカナダ、英国高等弁務官事務所は10月19日、本事件を政治的暴力として非難し、哀悼の意を示す共同声明を発表した。本事件は抗議活動の火に油を注ぐ結果となり、メディア報道によれば、10月21日に、事件現場でモンドラーネ氏を含む市民が集まる抗議集会が開かれたが、警察組織の介入により現場では混乱が発生し、集会は同日午前中に解散となった。
(松永篤)
(モザンビーク)
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