アイルランド政府、2025年予算案を発表
(アイルランド)
ロンドン発
2024年10月08日
アイルランド政府は10月1日、2025年の予算案を発表した。総額は1,054億ユーロ。同発表で政府は、「進歩性、公平性、そして将来に向けた真の機会の創出」を重点に置き、地域社会の強化、生活費高騰への対処、生活水準の向上を目指すとした。
個人所得に関する取り組みとしては、最低賃金を現在の1時間当たり12.70ユーロを2025年1月1日から引き上げ、13.50ユーロとする。また個人税控除、従業員税控除、勤労所得税控除などの主要な税額控除を125ユーロ引き上げ、それぞれ2,000ユーロへ増額するとともに、所得税の一種であるユニバーサル・ソーシャル・チャージ(USC、注)は4%から3%に引き下げる。
また2024年10月9日から、化石燃料に課される炭素税を、二酸化炭素(CO2)排出量1トン当たり7.50ユーロ増加して63.50ユーロとする。今回発表の予算案は基本的には2025年1~12月のものだが、一部、2025年より前に導入される措置がある。報道によると、ガソリン1回の平均給油額に1.28ユーロ、ディーゼル1回の平均給油額に1.48ユーロが追加される見込み(アイルランド放送協会「RTE」10月1日)。
一方で、家計および企業への支援策として、ガス代と電気代への軽減税率(9%)の適用を2025年4月30日まで6カ月延長する。
企業支援としては、多国籍企業が他国の子会社などから受け取る外国配当金に対する二重課税の軽減手続きが複雑とし、2025年1月1日からより簡素化された仕組みの「参加免除(participation exemption)」を導入するとした。また、研究開発税額控除の初年度支払額の基準を5万ユーロから7万5,000ユーロに引き上げる。
(注)年間の総所得が1万3,000ユーロを超える場合に、原則すべての所得に対して課される。USCを通じて集められた資金は、政府が提供するさまざまな社会福祉プログラムやサービスの資金として役立てられる。
(松丸晴香、尾関康之)
(アイルランド)
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