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(シンガポール)

シンガポール発

2024年10月30日

シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)は10月21日、太陽光や電力輸入など多様化するエネルギー供給構成に対応可能な未来の電力網構築に向けたロードマップを2024年中に発表することを明らかにした。

EMAによると、同国の発電燃料は2023年時点で94.5%が天然ガスだ。政府は近年、発電分野の脱炭素化に向け、天然ガスに加え、環境に優しい発電源による電力輸入や太陽光、水素などの導入に向けた動きを加速させている(特集:グリーン成長を巡る世界のビジネス動向ブラック)。EMAは現在、こうした分散型電源(注1)でも安定的に電力を供給できる電力グリッドを構築するため、政府系電力供給会社SPグループとロードマップを策定中だ。

同ロードマップには、(1)分散型電源の拡充とともに、オフピーク時への電力利用のシフトなど需給の調整、(2)オンライン上に仮想電力網を再現するデジタルツイン(注2)構築など電力網の計画、管理、(3)電力供給の安定性維持のためのソリューション開発が盛り込まれる予定だ。

仮想発電所設置で、一般から提案公募

EMAはまた、分散型電源対応に向けた仮想発電所(VPP)の可能性を探るため、TPPを試験運用するレギュラトリー・サンドボックス(注3)を設置する意向で、当該取り組みへの提案の一般公募している。VPPとは、太陽光や蓄電など複数の発電設備を包括して1つの発電所のように利用することで、電力の需給バランスの調整を行う仕組みだ。意見公募は2024年12月31日に締め切る予定で、公募の詳細はEMAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで参照できる。

EMAは、SPグループと仮想発電所の研究・開発(R&D)で協力し、TPPを試験運用するレギュラトリー・サンドボックスに参画する内容の覚書(MOU)に署名している。EMAとSPグループは当初、太陽光発電やバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)など分散型電源からなる15メガワット(MW)規模の仮想発電所を設置し、電力卸市場に参加して電力システムへの影響を調べる予定だ。

(注1)電力を使用している需要家の近辺に設置されている小規模な発電設備のこと。太陽光発電など再生可能エネルギー発電システムのほか、水素を活用した発電システム、電力貯蔵システムなどが含まれる。

(注2)デジタルツインとは、モノのインターネット(IoT)技術などを用いて現実の世界から収集したデータを基に、コンピューター上でその世界を再現する技術。

(注3)「規制の砂場」とも呼ばれ、政府などが革新的な新事業を育成する際に、現行法の規制を一時的に停止する規制緩和策。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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