ウズベキスタン、2030年までのAI開発目標を設定
(ウズベキスタン)
タシケント発
2024年10月24日
ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は10月14日、大統領決定第358号「2030年までの人工知能(AI)技術開発戦略の承認について」に署名し、2030年までのAI技術開発の目標を設定した。
この大統領決定では、具体的な数値目標も示した。具体的には、a. AIベースのソフトウエアとサービスの価値を、現在の1,000万ドルから15億ドルに増加させる、b. IT企業支援機関「ITパーク」が支援する企業のうち、AI分野で活動する企業の数を現在の10社から50社に増加させる、c. AI関連の研究所を10カ所新設する、d.対話型公共サービスポータルでのAI活用率を10%に上げる、e.ウズベキスタンが政府AI準備指数(注)で上位50カ国入りするなど、11項目を挙げている。
政府はさらに、2026年5月1日までにAIプロジェクト用のデータ処理施設を立ち上げる予定だ。AI技術開発のため復興開発基金から2025年1月1日からの5年間で5,000万ドルの無利子融資がデジタル技術省に配分する。
ウズベキスタンでは、AI活用に向けた議論も進んでいる。シェルゾド・アサドフ大統領報道官は8月に開催された大統領と企業家との対話イベントで、国のあらゆる活動分野にAI技術を広く導入する計画について報告した。大統領決定では、AI技術導入の優先分野として、銀行・金融、税務・税関、医療、農業、エネルギーを指定した。
ウズベキスタンで既に導入されているAI技術の例としては、銀行、決済システム、マーケットプレイスによるユーザー識別が代表的だ。遠隔での生体認証システム「My ID」と「UzFace」があり、70以上の機関が導入し、エンドユーザーは1,000万人に上る。
産業界では、国内の金融機関で一層のAI活用への関心が高まっている。2024年3月、アサカ銀行、テンゲ銀行、ウズム銀行のトップが銀行業務へのAI導入は不可避と発言した(「Gazeta.uz」3月6日)。また、同年6月には、中銀のソディル・メリバエフ副総裁が中銀でのAI導入の検討や、ビッグデータを活用した業務への移行について言及した(「スポット」6月12日)。
(注)今回の大統領決定では特定していないものの、英国企業オックスフォード・インサイツが発表する「政府AI準備指数」のことを指すとみられる。政府が公共サービスにAIを導入する準備がどれだけ整っているかを示す指数で、2023年版ではウズベキスタンは87位。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン)
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