第6回米印商業対話を実施、半導体やクリーンエネルギー、重要鉱物で協力強化
(米国、インド)
ニューヨーク発
2024年10月07日
米国商務省は10月3日、ジーナ・レモンド長官とインドのピユシュ・ゴヤル商工相が、第6回米印商業対話の閣僚級会合を開催したと発表した。両国は2023年3月に、商業対話の再開を宣言していた。半導体やクリーンエネルギー、重要鉱物といった重要分野での関係強化を進めている。
商務省の発表によると、両閣僚は前回の商業対話()からの成果として、「半導体サプライチェーンとイノベーションパートナーシップに関する覚書(MOU)」()の下(注1)、強靭(きょうじん)で安全かつ持続可能な半導体サプライチェーン構築に向けた取り組みを確認し、今後も投資、合弁事業、技術提携などでの協力促進を約束した。また、両国のスタートアップの連携を強化し、イノベーション・エコシステムを強化する「イノベーションハンドシェイクMOU」、インドでのクリーンエネルギー市場の成長を支援する「米印エネルギー産業ネットワーク(EIN)」の成果についても確認した。インド太平洋経済枠組み(IPEF)については、9月に行われたIPEF閣僚級会合でのサプライチェーン強靭化の取り組みを歓迎するとともに(IPEF閣僚会合開催、公正な経済ブラック)、IPEFサプライチェーン協議会で合意された半導体、化学製品、バッテリー向けの重要鉱物、潜在的にはヘルスケアといった分野での協力を確認した(注2)。
商業対話では、将来に向けた協力も確認された。両閣僚は、サプライチェーン強靭化が両国間の商業関係における政策上の優先事項であることを確認し、重要鉱物サプライチェーンの拡大と多様化を目的とした新たなMOUに署名した。優先分野には、重要鉱物の探査、採掘、加工、精製、リサイクル、回収を促進する設備、サービス、政策、ベストプラクティスの特定が含まれる。イノベーションハンドシェイクMOUの下では、新たな取り組みとして、2025年にスタートアップ、投資家などを集めた「エネルギー安全保障、テクノロジー、持続可能性のためのINDUSイノベーション」を実施すると発表した。詳細は、今後数カ月以内に発表される。ヘルスケア分野では、医薬品有効成分(API)の産業基盤、生産能力、緊急対応能力の強化のため、政府間協力の必要性を確認した。そのほか、2025年に両国の政府高官が主導する中間レビュー会合の開催で合意した。
両閣僚は商業対話のほか、10月2日に、2度目となる「米印CEOフォーラム」で共同議長を務めた。また、ゴヤル商工相は10月3日に、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表と会談した。9月には、ジョー・バイデン大統領とナレンドラ・モディ首相による、「包括的グローバル戦略パートナーシップ」の下での半導体やクリーンエネルギーの連携を強化する共同ファクトシートも発表している(2024年9月24日記事参照)。
(注1)米国国務省とインド電子・IT省の「インド半導体ミッション(ISM)」との間でも半導体の協力枠組みがある(米国務省、ブラック ジャック)。
(注2)貿易協定、サプライチェーン協定、クリーン経済協定、公正な経済協定、運用体制に関わるIPEF協定の5つのうち、インドで発効しているのはサプライチェーン協定のみ。なお、インドは貿易協定には参加していない。
(赤平大寿)
(米国、インド)
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