フィンランドの防衛産業、軍民両用セクターが関心集める
(フィンランド)
ロンドン発
2024年10月07日
フィンランド国営の株式投資企業Tesi(Finnish Industry Investment)は9月24日、防衛産業に関する調査結果を発表した。
同調査では、防衛産業を従来支えてきた企業が規模を拡大する一方で、スタートアップが加速度的に設立されていることがわかった。今回の調査対象368社のうち約4割の144社は急成長のスタートアップや成長フェーズにある企業だった。なお、防衛産業企業のうち約半数はフィンランド南部のウーシマー地域に拠点を置いている。
Tesiによると、特に民間と軍事の両方の用途にソリューションを提供するデュアルユース企業が急成長しており、投資家の関心を集めているという。デュアルユース企業の約60%はソフトウエア関連の企業で構成されており、他にも半導体関連の企業も多いとされている。防衛関連のスタートアップの技術分野としては、検知・感知などのセンシング、コネクティビティー、サイバーセキュリティーが多いという。南部エスポーに拠点を置くGIMロボティックスは装甲車向けの位置特定ソリューションを提供するデュアルユース企業で、NATOの北大西洋防衛イノベーション・アクセラレーター・アライアンス「DIANA」(注)にフィンランドから初参加している。
フィンランドは国として防衛産業への積極的な投資も行っており、国営企業がわずか10年の間に40件以上の投資を行っている。
NATOは2014年に、加盟国それぞれがGDPの2%を防衛費に割り当てるという目標を設定しており、NATOの防衛費レポートでは、フィンランドの防衛費は2024年にはGDPの2.41%となることが予測されている。また、同国の2024年防衛費予算は約67億ユーロで、2019年からほぼ倍増している。
(注)NATO加盟国全体の研究者や起業家と連携し、技術の開発を支援するNATOの機関。DIANAはテストセンターを有し、大学や産業界、政府、スタートアップ、イノベーターと協力して、重要な防衛や安全保障の課題を解決する。
(松丸晴香、半井麻美)
(フィンランド)
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