インド大手財閥傘下ビルラ・カーボン、10億ドル投じて米サウスカロライナ州に合成黒鉛製造の施設建設へ

(米国、インド)

アトランタ発

2024年10月16日

米国サウスカロライナ州商務省は10月8日、カーボンブラック添加剤の製造大手ビルラ・カーボン(本社:ジョージア州)が同州オレンジバーグ郡に電気自動車(EV)などに使用される合成黒鉛の製造施設を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。10億ドルを投じ、124人の新規雇用を見込む。同社にとって同州内で初めての製造施設だ。

ビルラ・カーボンはインドの大手財閥アディティア・ビルラ傘下の企業で、高品質のカーボンブラック添加剤を製造している。14カ国に17施設を有し、ゴム、プラスチック、塗料、インクなどの産業に製品を供給している。事業規模が全体で660億ドルのアディティア・ビルラ・グループの主力事業で、グローバルの年間生産能力は200万トンを超える。

新設する製造施設は建物面積43万5,000平方フィート(約4万平方メートル)の次世代合成黒鉛連続生産施設(注)で、年間40ギガワット時(GWh)以上のバッテリー生産に十分対応可能な量の合成黒鉛を供給する予定だ。初期段階では、年間2万5,000トンの合成黒鉛を生産し、EVやエネルギー貯蔵市場、防衛市場の需要に対応し、2026年の操業開始を予定している。

同社のジョン・ラウダーミルク社長兼最高経営責任者(CEO)は「サウスカロライナ州とともに、この重要な産業の国内成長に寄与する意義深い投資が行えることをうれしく思う」「EVとエネルギー貯蔵市場の需要が今後ますます増大する中で、新施設は未来への投資となる」と述べた。同州のヘンリー・マクマスター知事(共和党)は「サウスカロライナ州の強い経済とビジネス優遇の環境が大規模な投資を引き寄せ続けている」「ビルラ・カーボンの10億ドルという巨額投資と124人の新規雇用創出は、オレンジバーグ郡に変革的な影響を与えるだろう」と語った。

なお、新施設の建設に関しては、2024年9月に米エネルギー省(DOE)が発表した、バッテリー材料の加工、同製造とリサイクルに対する助成金の受給対象事業の1つとして、1億5,000万ドルの助成金支給が予定されている(2024年9月27日記事参照)。

(注)継続して材料が供給され、生産物を取り出す方式。

(横山華子)

(米国、インド)

ビジネス短信 149c198123ac01ee