ハリヤナ州議会選挙、インド人民党(BJP)が過半数を獲得

(インド)

ニューデリー発

2024年10月15日

インド北部ハリヤナ州の州議会選挙(定数90)の開票が10月8日、行われた。国政与党を担うインド人民党(BJP)が前回選挙(2019年)を上回る48議席を獲得し、3期連続で州政権を維持した(添付資料表参照)。最大野党の国民会議派(INC)も、37議席と前回から議席数を増やした。ハリヤナ州は首都デリーに隣接し、新興都市グルグラム(旧グルガオン)は日系企業の一大集積地となっており、日本人居住者も多い重要な州だ。

2024年4~6月に行われた下院総選挙では、与党BJPが大幅に議席数を減らしたことで、モディ政権の勢いに陰りが生じてきているとの見方が強まっていた。今回は下院総選挙の開票後に初めて行われた州議会選挙であり、その動向に注目が集まっていた。下院総選挙のハリヤナ州の選挙区では、与党BJPと野党INCが拮抗(きっこう)し、獲得議席数は同数だった。この結果も踏まえ、今回の州議会選挙では事前予想や出口調査ではBJPの劣勢が伝えられていたものの、BJPが大きく勝利する結果となった。この結果は、モディ政権の今後の政策決定にポジティブな影響を与える可能性がある。

現地メディアは今回の選挙結果について、BJPの巧みな選挙戦術が勝利につながったと伝えている(「エコノミック・タイムズ」紙10月9日など)。野党INCが州の人口の約4分の1を占めるジャート(注)コミュニティーに焦点を当てた選挙キャンペーンを繰り広げたのに対し、与党BJPは同コミュニティー以外からの得票に注力した。2014年の州政権獲得後、BJPは州首相に上層カーストのジャートコミュニティー出身者を選出していたが、2024年3月にその他後進階級(OBC)出身のナヤブ・シン・サイニ氏を選定したことで、人口の約4割を占めるOBCからの支持も得られたとみられる。

今後3カ月以内に、東部ジャールカンド州や西部マハーラーシュトラ州などで州議会選挙が予定されている。インドでは、民族や宗教、カースト、歴史的背景などから地域ごとにさまざまなコミュニティーが存在しており、人々の帰属意識も高い。選挙結果には各政党の各コミュニティーに対する政策面、人事面でのアプローチが大きく反映されるため、各党の選挙戦略が重要となる。

(注)土地を所有する農民を中心としたハリヤナ州の有力コミュニティー。

(丸山春花)

(インド)

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