GDP成長率は2024年第2四半期もプラスを維持
(イタリア)
ミラノ発
2024年09月10日
イタリア国家統計局(ISTAT)は9月2日、2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(季節調整済み)を、前期比で0.2%、前年同期比で0.9%と発表した。7月に同様の数値を速報値として発表していたが、その内容を追認し、2023年第3四半期以降、4四半期連続のプラス成長を維持する結果となった。
需要項目別にみると、国内最終消費は前期比で横ばいとなったが、総固定資本形成が0.3%増となり、経済成長を支えた。他方、純輸出は10.9%減と大きく減少した。財・サービスの輸入が0.6%減となる一方で、同輸出が1.5%減となったことが影響した。
業種別では、農業・林業・漁業が前期比で1.7%減と減少。製造業(建設業を含む)も0.5%減と減少するなか、サービス業が0.4%増と経済成長を牽引した。主に不動産業が0.8%増、カード ゲーム ブラック ジャック・通信業が0.6%増とプラス成長となり、なかでもカード ゲーム ブラック ジャック・通信業は新型コロナ禍の2020年第3四半期以降、16四半期連続でプラス成長を維持している。
メローニ首相は経済政策に自信
ISTATは、2024年第2四半期の経済成長率を受け、2024年通年のGDP成長率を前年比で0.6%と予測している。また、イタリア銀行(中央銀行)は6月に今後3年間のイタリアのGDP成長率予測を発表し、2024年は0.6%、その後は少し加速して2025年に0.9%、2026年には1.1%になるとしている。
こうした結果を受け、ジョルジャ・メローニ首相は、マクロ経済データはポジティブであり、これらは大きな期待の表れだとして自信を示した。今後も、雇用を創出する企業を支援し、家庭や労働者の購買力を強化することに集中するとしている。
しかし、イタリア銀行は、国際的緊張の激化による世界貿易回復の低迷、2022年以降の金融引き締めによる内需への影響のさらなる顕在化、住宅改修に対する優遇策の縮小(エネルギー効率、耐震改修などの特定の改修に対して発生した費用に対する税額控除率を110%に引き上げたスーパーボーナスの見直し)などが今後の経済成長にとってのリスクになり得ると指摘しており、経済の先行きは予断を許さない。
(三宅悠有)
(イタリア)
ビジネス短信 f198c1589066c7de