カジュアル衣料品店GU、ブラック ジャック ディーラー初の旗艦店を米ニューヨークにオープン、グローバル化に注力

(米国、日本)

ニューヨーク発

2024年09月20日

ファーストリテイリング・グループ傘下のカジュアル衣料品販売「ジーユー(GU)」(本部:東京都江東区)は9月19日、同社でブラック ジャック ディーラー初となる旗艦店「GU・ニューヨーク・ソーホー(GU NY SOHO)店」をオープンした。2022年秋に開店したニューヨーク(NY)市内のポップアップストア(注)は2024年夏に閉鎖し、今回オープンした旗艦店は、米国で初の常設店舗となる。米国全士の顧客に配送を行う電子商取引(EC)サイトも同時に開設した。

旗艦店の出店先は、ファッションや文化の発信地で、ショッピング街として知られるソーホー地区のメイン通りに位置している。売り場面積が約1万225平方フィート(約950平方メートル)の「GU NY SOHO」は、最新のファッショントレンドを発信することで、世界の顧客に向けて、常に自由なスタイルを提案する「GU NEW U」コンセプトを披露する場としていく考えだ。また、新店舗の開店に併せて、日本のアパレルブランドで独自の世界観と斬新なデザインで知られる「アンダーカバー」とのコラボレーションも発表した。同コラボレーションでは、洋服の袖の取り外しが可能で、1着でさまざまなシルエットが表現でき、性別にとらわれないジェンダーレスファッションも提案する。

同社では、これまでの米国での事業展開の教訓から、デザイナーや型紙を作るパタンナーを現地採用し、地域に合った商品開発を推進することを重視しており、2023年9月にNYに商品本部を設立している。今後は、米国を拠点とするインフルエンサーやコンテンツクリエーターにも注目し、北米進出のプレゼンス拡大のマーケティングを行う予定。

ファーストリテイリングの岡崎武志最高財務責任者(CFO)は「グループ全体の成長の柱である北米、欧州、東南アジアが2024年度上期に大幅な増益をもたらした」「これらの地域がこの期間の全体的な成長の主な原動力であることを証明し、業績の新記録達成に貢献した」と、グローバル展開に注力する意気込みを述べた。同氏によると、北米市場ではファーストリテイリングの全ブランドで店舗売上高が2桁台で伸びており、この成長が続けば、米国での売上高が記録的なものになると見込んでいる(ファッション専門誌「グロッシー」5月13日)。

物価高で消費者の節約志向が高まる中で、同社はこうした傾向を商機と捉え、商品数を絞り込みつつ、低価格ながらも高品質で最新のトレンドを取りそろえていることが強みだとアピールする。今回出店した店舗では、店内のいたるところに、買い物客に商品の着こなし方を紹介するディスプレーを設置しており、厳選したコレクションを最低限の価格ながら、最大限のスタイルと品質を届けるというコンセプトを重視している(「フォーブス」9月19日)。米国では同じくファーストリテイリング傘下のユニクロが新規出店を進めることでブランドプレゼンスを高めており、今後もグローバルブランドとしてさらなる事業拡大を目指す。

(注)空き店舗などを利用して、短期的に出店する店舗形態。

(樫葉さくら)

(米国、日本)

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