米国際トラック運転手組合チームスターズ、大統領選でどの候補も支持せずと表明
(米国、カナダ)
ニューヨーク発
2024年09月20日
国際トラック運転手組合のチームスターズ(本部:首都ワシントン)は9月18日、11月の米国大統領選挙で、民主党のカマラ・ハリス副大統領、共和党のドナルド・トランプ前大統領のいずれの候補者も支持しないことを表明した。同組合が候補者の支持を見合わせたのは1996年以降初めて、1960年以降では3回目となる。
チームスターズは1903年に設立し、現在は米国とカナダの貨物自動車の運転手と倉庫作業員を中心に、幅広い業種を含む約130万人の組合員で構成している。過去の大統領選ではリチャード・ニクソン大統領、ロナルド・レーガン大統領、ジョージH.W.ブッシュ大統領など共和党候補者を支持した経緯もあるが、最近ではバラク・オバマ大統領、ヒラリー・クリントン国務長官などを支持しており、民主党支持基盤の1つとなっていた。
ショーン・オブライエン会長は「われわれは、トランプ氏とハリス氏の双方に対し、重要な組合活動や(メンバーの)産業に干渉しないことや、ストライキ権を尊重することを求めたが、確約されなかった」と判断の背景を説明している。また「組合代表としての使命は、正直で率直であること、包括的であること、そして何よりも、メンバーに対して透明性を保つことだ。米国で最も強力で民主的な労働組合として、この支持プロセスを進めることは不可欠だ。民主党員、共和党員、無党派の人々は誇りを持って組合を本拠地と呼んでおり、われわれは彼ら全員を代表し、尊重する義務がある。全ての組合員に次の選挙で投票し、政治プロセスに関与し続けるよう強く勧めているが、今回は組合の支持を得る候補者はいない」と述べた。
なお、チームスターズは各候補者との交渉の中で、ハリス氏が組合破綻を引き起こす労働権法(RTW法、注1)を批判し、当選した場合は団結権保護法案(PRO法、注2)に署名することを約束したと公表。一方で、トランプ氏はRTWに対する拒否権の発動は行わないだろうとみている。
(注1)Right to Work法:労働者に職場で労働組合に加入するか否かを選択する自由を与える州法。26州が採用。
(注2)Protecting the Right to Organize Act: 労働者保護の拡大を目的とする法案。2021年3月に下院を通過したが、9月時点で未成立。
(大原典子)
(米国、カナダ)
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