ハイブリッド車メーカーの投資促進、物品税引き下げ
(タイ)
バンコク発
2024年08月07日
タイ国家電気自動車政策委員会(EV Board)は7月26日、ハイブリッド車(HEV)メーカーの投資を促進するため、HEV車に課される物品税(注1)を引き下げる措置を発表した。
タイ投資委員会(BOI)のプレスリリース によると、HEVメーカーの投資促進策として、従来計画していた物品税率の引き上げに代わり、2028年から2032年にかけてHEV(乗員10人未満)の物品税率を次のとおり引き下げる。
- 二酸化炭素(CO2)排出量が1キロメートル当たり100グラム未満の場合、物品税率は6%に引き下げる。
- CO2排出量が1キロ当たり101~120グラムの場合、物品税率は9%に引き下げる。
なお、上記の優遇措置が適用されるには、次の条件を満たす必要がある。
- 自動車メーカーが2024年から2027年にかけて、30億バーツ(約123億円、1バーツ=約4.1円)以上の新規投資を行う。
- 2026年からタイ国内で生産されたバッテリーを使用し、2028年以後はその他の国内で生産された重要部品(注2)を使用する。
- 6つの先進運転支援システム(ADAS、注3)のうち、4つ以上を搭載する。
EV Boardによると、当該措置により総額500億バーツの新規投資を見込めるとしている。
(注1)物品税とは、特定の商品やサービスに対して課税されるもののこと。例えば、石油製品、アルコール飲料、乗用車、ナイトクラブの売り上げなどがある。HEVに対しては、通常8~16%だが、投資委員会(BOI)奨励事業に限り、2025年までの時限措置として4~8%に引き下げている。2026年以降は引き上げる予定だったが、今回の承認により、条件を満たせば引き続き2026~2032年は6~9%の軽減税率を享受できる。
(注2)重要部品とは、トラクションモーターや減速ギア、インバーター、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、ドメイン制御ユニット(DCU)、DC/DCコンバーター, 高電圧ハーネスなどを指す。
(注3)6つの先進運転支援システム(ADAS)は次のとおり。
- 衝突被害軽減制動制御装置(Advanced Emergency Braking System, AEB)
- 前方衝突警告(Forward Vehicle Collision Warning Systems, FCW)
- 車線逸脱防止支援システム(Lane Keeping Assistance Systems, LKAS)
- 車線逸脱警報(Lane Departure Warning System, LDW)
- 死角検知システム(Blind Spot Detection, BSD)
- 車間距離制御(Adaptive Cruise Control, ACC)
(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)
(タイ)
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