バングラデシュ南東部の一部エリアで洪水被害、物流に影響

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年08月26日

バングラデシュでは8月22日以降、モンスーンの豪雨により南東部の主要都市であるフェニ(ダッカ中心部から約150キロ)、クミラ(同約100キロ)やチョットグラムの一部エリアなどを中心に洪水が発生し、住居の浸水や停電などの被害が生じている(「デーリー・スター」紙8月25日ほか)。これら地域には、輸出入貨物の国内輸送に欠かせないダッカ・チョットグラム幹線道路(国道1号線)がある。ジェトロは郵船ロジスティクス・バングラデシュの大友芳光ディレクターに、物流への影響などについて聞いた(インタビュー:8月25日)。概要は次のとおり。

(問)現在の物流の状況、洪水による影響は。

(答)先週(8月18日の週)から、当地の輸出入物流に係るオペレーションは完全稼働に戻りつつあった。先般の公務員採用の特別優遇枠のクオータ制度を巡る学生によるデモ活動から、シェイク・ハシナ首相辞任に至るまでに遅延していた国内物流は平常化が進められていた最中だった。しかし今般の洪水により、8月23日の夜間から物流に大きな影響が生じている。例えば洪水被害が激しいフェニの一部エリアでは、一時60~65キロにわたる渋滞が発生した。およそ3,500台の車両が滞留したとみられ、この解消には向こう2~3日程度かかるもようだ。

(問)海上輸送の今後の見通しや、チョットグラム港の状況は。

(答)ダッカ・チョットグラム幹線道路を通じた輸出入に係る物流の復旧には、今週いっぱい(少なくとも8月31日ごろまで)かかるだろう。そのため、予定していた本船スケジュールへの、貨物の遅延が想定される。また、チョットグラム港では沖待ちが悪化しており、通常フィーダー船の同港到着から着岸まで従来1~2日程度だったが、現在4~5日程度要している。この混乱で、港での貨物の荷下ろしと積み込みは従来の2~3日程度が3~4日程度に延びている状況で、国内配送の費用は急激に上昇しつつあり、当社も車両手配や貨物輸送に苦労している状況。

他方、船会社各社によると、コンテナの在庫は確保されており不足はない。また現時点で、当社が活用しているチョットグラム港近郊のコンテナフレイトステーション(CFS、注)内において、冠水などの被害は見られない。

(問)航空輸送の状況は。

(答)タイ航空に減便がみられるが、その他はおおむねスケジュールどおりに運航している。(上述の)大雨の影響で貨物の滞留がみられ、航空輸送のコストはしばらく高止まりすると予想される。当方も苦心している状況だが、引き続き粛々と日系企業はじめ、顧客の皆様への物流支援を継続していく。

(注)輸出入コンテナ専用の一時保管・荷さばき場。コンテナヤード(CY)同様、船会社または船会社指定の港湾運送事業者が所有・運営する施設。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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