ラオスで外国為替取引アプリの使用が開始
(ラオス)
ビエンチャン発
2024年08月28日
ラオス外国為替取引(Lao Foreign Exchange:LFX)のサービスが8月22日、3商業銀行〔ST銀行、ラオス外国商業銀行(BCEL)、ラオス農業振興銀行(APB)〕の各モバイルアプリを介して試験的に開始した。
このサービスは、ラオス中央銀行(BOL)が主導して開発を進めてきた「為替取引プラットフォーム(LFX)」で、米ドル、中国・人民元、タイ・バーツの3通貨と現地通貨キープとの相対取引をモバイルアプリやウェブサイトを介して行うことができるシステムだ。2024年8月5日には、外国為替市場の設立に関する覚書がBOLとBCEL、中国工商銀行(ICBC)などラオスの主要15商業銀行(外国銀行支店も含む)との間で締結された。
個人口座は1日1,000ドル相当、月1万ドル相当を上限とし、法人口座では1日5万ドル相当、月50万ドル相当を上限に両替が可能だ。利用者はモバイルアプリ上で、一定の範囲内での指値で通貨の売却や購入の注文ができることが特徴で、相対取引が成立後に両替される仕組み。これまでラオスでは、BCELが同銀行のモバイルアプリ内で法人や個人の顧客に対し同様なサービスを提供していたが、本サービスは複数の商業銀行の顧客が参加できる共通システムとなっている。
ラオスでは外貨が不足する中、現地通貨キープの下落に歯止めをかけるために2023年1月に全国にある民間の両替店を閉鎖し、商業銀行のみが両替サービスを提供できる措置を導入した(カード ゲーム ブラック ジャック)。しかし、多くの商業銀行はガソリンなど重要度の高い物資の調達のために外貨を優先して供給する必要があることから、個人や小規模な輸入会社などへの外貨販売を制限している状況にある。このため、顧客は外貨が必要な場合、レートの悪いパラレルマーケットにおいて調達せざるを得ない状況にあった。BOLのデータによると、2024年7月31日の商業銀行のレートとパラレルマーケットのレートは対ドルで14.8%、対バーツで5.7%の差があった。BOLは本サービスが開始されることで、顧客はより便利な外貨の調達が可能になり、政府としても外貨管理や為替レートの安定に資するとしている。
LFXアプリの画面、赤字がドルの売却指値、緑字がドルの購入指値(ジェトロ撮影、2024年8月23日午後2時時点)
(山田健一郎)
(ラオス)
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