モハメッド6世国王が水・干ばつ対策加速の必要性を公言
(モロッコ)
ラバト発
2024年08月14日
モハメッド6世国王は、即位記念日の前日となる7月29日に国民に向けてスピーチを行い、即位後の政治・制度改革や経済開発などに関する成果を強調する一方、主要な課題として水問題を取り上げ、干ばつ対策加速の必要性を強調した。
モロッコにおいて国王の発言は重く、政府・議会の国政運営に重要な影響を与えることから、今後議論される2025年度(暦年)予算などで、重要課題として干ばつ・水対策が議論されることが予想される。
発言概要は次のとおり。
- 6年続く干ばつや気候変動の影響、水需要の増加により、地下水も含め水をめぐる環境は不安定化、問題は複雑化。
- 政府は「国家飲料水供給・灌漑プログラム2020-2027(国家水計画)」に沿って取り組んできたが、現状は十分な対応となっておらず、特に農村部での窮状に対処するために、至急かつ革新的な措置が必要。
- 全国民の飲み水の確保と全国土の灌漑ニーズの80%をカバーする水が必要であり、降雨のある地域でのダム建設を促進し、各地で河川と居住エリアをパイプで結ぶことにより海に流れでていた10億立方メートルの水を利用。
- 海水淡水化施設の建設も重要で、飲料水需要の半分以上をカバーし、主要農業エリアの灌漑を通じて食糧安全保障を強化するために、年間17億立方メートル以上の確保を目指す計画の加速が必要。
- 水の生産には海水淡水化施設向けのクリーンエネルギーの供給が必要であり、全国各地から再生エネルギーを運ぶネットワーク構築も加速するには関連技術や保守人材育成に向けた組織が必要。
- 水の浪費を監視するため、「水警察(La Police de l’eau)」による水源地域の資源管理に目を光らせる一方、水処理と再利用においても革新的なプログラムを導入し水不足へ対処。
- 水資源管理分野でのイノベーション促進、新技術活用も必要。
モロッコでは深刻な水不足を受け、これまでもカサブランカでのアフリカ最大級の海水淡水化施設など水資源インフラの整備を進めていた(関連ブラック ジャック、6月17日記事参照)。
(本田雅英)
(モロッコ)
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