カナダの鉄道会社2社、ロックアウトを実施
(カナダ)
トロント発
2024年08月23日
カナダの2大鉄道会社のカナディアン・ナショナル・レールウェイ(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティー(CPKC)は、労働組合チームスターズ・カナダ鉄道会議(TCRC)との労使交渉が決別し、8月22日にTCRCに所属する従業員のロックアウトを開始したと発表した。
CNは、ケベック州モントリオールに本社を置く鉄道会社で、カナダ東海岸と西海岸、ならびに米国中西部とメキシコ湾に約2万マイルの鉄道ネットワークと関連輸送サービスを持ち、北米全域で毎年3億トン以上の天然資源や製造製品などを輸送している。
CPKCは、アルバータ州カルガリーに本社を置く鉄道会社で、カナダ、米国、メキシコを結ぶ約2万マイルの鉄道ネットワークと2万人の鉄道員を擁し、北米大陸の主要市場に鉄道サービスとネットワークを提供している。
TCRCは、13万人以上の組合員を擁するカナダ最大の輸送・サプライチェーン労働組合だ。インフラ維持に関わる民間部門で最大の組合でもあることから、連邦政府の介入を受け得る。CNとCPKCはTCRCと数カ月にわたり、賃上げや勤務時間と連邦政府が定める休息規定を一致させることで、従業員の月間労働日数を減らすことなどを提案してきたが、TCRCは応じなかった。
CPKCはロックアウトについて、カナダ全土の列車運行の計画的な停止は、労働協議が終了した際に「安全かつ効率的に鉄道業務を再開できるようにするもの」と発表。さらには、TCRCの要求は非現実的で、「顧客に信頼できるコスト競争力のある輸送サービスを提供する能力を損なう」と批判している。
一方、TCRCのポール・バウチャー委員長は、合意の主な障害は企業側にあり、企業が利益を優先し、経済全体を危険にさらしていると主張している。
ロックアウトによる鉄道業務の停止が長引くと、港湾業者や自動車メーカー、林業など多くの産業に影響を与え、北米のサプライチェーン全体に大きな混乱を招く可能性がある。トロント近郊でも、ロックアウトによる影響で中心部と郊外をつなぐゴー・トレインの一部の路線が運休している。
(幡野裕一)
(カナダ)
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