欧州委、中国製BEVへの相殺関税措置の最終案を関係者に開示
(EU、中国)
ブリュッセル発
2024年08月22日
欧州委員会は8月20日、中国製バッテリー式電気自動車(BEV)に対する相殺関税措置の最終案を関係者に開示したと発表した(プレスリリース)。関係者は8月30日まで、最終案に対する意見を提出できる。欧州委はこれらの意見を踏まえて、最終措置に関する実施規則案を作成し、EU加盟国による採決を経て、10月30日までに実施規則をEU官報に掲載する方針。
相殺関税措置は、2023年10月に開始した反補助金調査に基づく。最終案は、2024年7月に発動した暫定措置(関連ブラック ジャック カード)に対する関係者の意見や調査結果を反映し、追加関税率を修正した。
最終案におけるメーカー別の追加関税率は、比亜迪汽車(BYD)17.0%(暫定措置17.4%)、吉利汽車(Geely)19.3%(19.9%)、上海汽車(SAIC)36.3%(37.6%)。その他の企業は、調査への協力がある場合21.3%(暫定措置20.8%)、ない場合36.3%(37.6%)と設定した。
米国テスラは、欧州委に「個別調査」の申請を提出。欧州委は調査の結果、テスラの個別関税率は9.0%とし、暫定措置の20.8%から大幅に下方修正した。現地報道によると、テスラは中国メーカーと比較して組織構造が単純で、中国国外で資金調達を行っており、中国からの補助金は相対的に少ないと認められた。
このほか、一部の中国メーカーやEUメーカーとの合弁企業は、調査の対象期間(2022年10月~2023年9月)にEUへの輸出実績がないため、より低い税率が適用される可能性がある。
欧州委は、関税の遡及(そきゅう)徴収の可能性を考慮して、2024年3月に中国製BEVの輸入登録を開始した。しかし調査の結果、遡及徴収の法的要件を満たしていないため、暫定措置期間からさかのぼって関税を賦課しないとした。
最終措置に関する実施規則はEU官報掲載後、施行される予定。最終措置の実施期間は5年間だが、正当な申し立てがあれば延長可能だ。
なお、中国は8月9日、WTOの紛争解決手続きに基づき、暫定措置に対する協議の申し立てを行った。欧州委は、中国の同申し立てによる反補助金調査への影響はなく、調査および暫定措置はWTOルールに適合していると主張。WTOの手続きに即し、中国に対応するとした。
(滝澤祥子)
(EU、中国)
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