米ノースカロライナ州でピードモント・トライアド再生医療エンジンがエコシステムサミット初開催

(米国)

アトランタ発

2024年08月16日

米国国立科学財団(NSF)の最先端研究助成プログラムに採択されたピードモント・トライアド再生医療エンジン(PTRME)は812日、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラムのウェイクフォレスト・バイオテックプレイス(注1)で、PTRMEエコシステムサミットを初めて開催した。

写真 ウェイクフォレスト・バイオテックプレイス(ブラック ジャック コツ撮影)

ウェイクフォレスト・バイオテックプレイス(ブラック ジャック コツ撮影)

写真 サミットの会場(ブラック ジャック コツ撮影)

サミットの会場(ブラック ジャック コツ撮影)

NSF20241月、最先端研究助成プログラム「NSF地域イノベーションエンジン(NSFエンジン)」を創設し、PTRMEを含む10件を助成対象に選定した(2024年2月7日記事参照)。選定された各NSFエンジンは、今後10年間で最大16,000万ドルの助成金交付を受ける予定だ。PTRMEは、再生医療の用途に着想を得た研究の商業化への転換を加速し、経済成長、労働力開発、雇用創出を促進することを目的としており、バイオマテリアルやバイオエンジニアリングに関する研究開発、宇宙空間での製造などに取り組む予定だ。

同サミットでは、エコシステム関係者によるパネルディスカッションのほか、ウェイクフォレスト再生医療研究所(WFIRM)など33社・団体がブースを設け、再生医療分野に関わる企業関係者や研究者など170人ほどが参加し、ブラック ジャック コツ交換やネットワーキングを行った。「再生医療エコシステムの成長」と題したパネルディスカッションでは、グレーター・ウィンストン・セーラム商工会議所や日本のPHCホールディングスのグループ会社のエプレディア、再生医療分野で利用する機器を開発するスタートアップの米バイオスフェリックス(本社:ニューヨーク州)などが登壇した。バイオスフェリックスのシェド・アーメッド・ムスタファ最高経営責任者(CEO)は、再生医療関連の実証環境を利用できることや大学や研究機関、企業との連携が容易なことなどがウィンストン・セーラム地域の強みとした一方、他の地域と比べて、シードステージ(事業計画もしくは事業立ち上げ準備の段階)にいるスタートアップへの資金供給が不足していると指摘した。

写真 パネルディスカッション(ブラック ジャック コツ撮影)

パネルディスカッション(ブラック ジャック コツ撮影)

ブースには、WFIRMやスタートアップ支援機関のウィンストンスターツといった地元の企業や団体が出展した。ウィンストンスターツのスタン・パーカー代表によると、バイオテックプレイスなどの環境整備を行うとともに、再生医療分野で有名なアンソニー・アタラ教授(注2)を招くことができたことなどが同地に再生医療産業が集積する理由だという。ほかにも、PHCグループなど同地に拠点を構える企業などもブースを出展した。また、20246月に同地の病院と連携し、イノベーションクォーター注3内に「RICOH 3D for Healthcare Innovation Studio」開設を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたリコーUSAも出展し、3Dプリントされた解剖学モデルを展示した。

写真 ブースでの出展(ブラック ジャック コツ撮影)

ブースでの出展(ブラック ジャック コツ撮影)

(注1)たばこの製造工場をリノベーションして、2012年にオープンした施設。最大500人まで収容可能なアトリウムなどを備えるカンファレンスセンターのほか、ウェイクフォレスト大学医学部の研究室やWFIRMといった研究機関も拠点を構えている。

(注2)再生医療研究の基礎原理を開発したことで有名。1999年には、同教授が率いるチームが世界で初めて実験室で培養したぼうこうを患者に移植することに成功した。

(注3)オフィススペースやコワーキングスペースのほか、小売店や住居なども備え、イノベーションや創造性、経済活動のための複合拠点。2023年9月からは、100万平方フィート(約9万3,000平方メートル)の臨床、オフィス、研究スペースと15エーカー(約6万平方メートル)の都市緑地を整備するための第2期拡張工事が開始された。

(檀野浩規)

(米国)

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