ファイザー、AI活用のメルボルン製造施設で抗菌薬製造へ
(オーストラリア)
シドニー発
2024年08月19日
米国製薬大手ファイザーは8月6日、オーストラリアのビクトリア州メルボルン工場に1億5,000万オーストラリア・ドル(約145億5,000万円、豪ドル、1豪ドル=約97円)を投じ、薬剤耐性菌(AMR)に対応した新しい抗菌治療薬を製造する先進的な製造施設を設置すると発表した。同社は2025年半ばまでに建設を終え、2026年から商業生産を開始する。
ファイザーのプレスリリースによれば、メルボルン工場では現在、がん治療薬や抗菌薬、麻酔薬、抗炎症薬などが製造され、60カ国以上の国に輸出されている。新たに設置される製造施設では、製造に必要な凍結乾燥装置が2台導入されるほか、人工知能(AI)やロボティクス技術を活用した先進的な製造施設を目指し、主要な製造プロセスにおいてAIの導入実証を行う。また、500人を新たに雇用する。
同社のアン・ハリス豪州・ニュージーランド担当マネージング・ダイレクターは「メルボルン拠点において、新製品の開発と提供を行い、また、オーストラリアにおいて高度な製造能力を有する施設への投資を行うことは大変喜ばしいことだ」と述べた。さらに、「グローバルヘルスの最大の脅威の1つであるAMRの蔓延(まんえん)の解決を支援することは、ファイザーの革新的な製品開発事業の戦略的な柱だ」と事業の重要性を述べた。
8月6日には、ビクトリア州政府のナタリー・ハッチンズ産業・雇用相が製造能力向上に資するAIやロボティクス技術を活用した同施設予定地を見学した。ビクトリア州は、オーストラリアの中で医薬品やバイオテクノロジー、ヘルスケアなどライフサイエンス分野に強みを持ち、医療分野の研究を行う国際的な研究機関が18カ所集まっている。また、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンや医薬の開発を支援する州政府の機関「mRNAビクトリア」を有しており、mRNA産業の育成を目指している。また、ライフサイエンス関係の機関や大学、産業などで3万人以上が雇用されている。
(青島春枝)
(オーストラリア)
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