中国中部地域3省、低空経済の推進に向けた政策措置発表

(中国)

武漢発

2024年08月16日

中国の河南省政府は8月12日、「低空経済(注1)の質の高い発展の促進に関する実施プラン(2024~2027年)」を発表した。低空経済の産業規模を2025年までに300億元(約6,300億円、1元=約21円)とし、2027年には500億元を目指すとしている。

そのほか、2027年までの目標として、(1)一般航空(ゼネラルアビエーション、注2)サービス機能を持つ輸送空港(一般航空用空港)を20カ所前後建設する、(2)一般航空の飛行時間10万時間、ドローンの飛行時間200万時間を達成するなどを挙げた。また、救急救援や医療救護などの公共サービス分野での応用拡大、都市の低空物流では鄭州市、安陽市などをテスト地点として、ドローン応用を率先して展開していくとしている。

同省と同じく中国の中部地域に位置する湖北省、湖南省も、低空経済の発展に向けた政策措置をこれまでに発表している。

湖北省発展改革委員会は8月6日、「低空経済の質の高い発展の加速に関する行動プラン(2024~2027年)」を発表した。2027年までに低空経済の産業規模1,000億元の突破を目指すとしている。

そのほか、2027年までの目標として、(1)一般航空用空港を30カ所以上、離着陸場を600カ所以上建設する、(2)航空機の生産能力を有する企業を50社、部品企業を500社、新型材料企業を100社育成するなどを掲げた。一般航空用空港の新設や拡張に当たり、最高1,000万元、離着陸場の建設に最高100万元を補助するとしている。また、低空産業モデル区として、武漢市を中心に襄陽市、宜昌市、荊門市がそれぞれの産業基盤の下で協力して省内の低空経済産業の発展を進めていくとした。

湖南省政府も6月13日に「低空経済の質の高い発展に関する若干の政策措置」を発表した。この政策措置では具体的な補助金額などを示した。うち積極的な誘致策として、重要な低空経済に関わる先進製造プロジェクトに対しては、経済社会への実際の貢献度に応じて、最大2,000万元の奨励金を支給する。インフラ整備の推進策としては、一般航空用空港の建設(改造、拡張を含む)で、プロジェクト費用の10%を、1つの空港に対して最大1,000万元まで、1回限り支給する。政策措置の実施に必要な資金は省予算のインフラ建設特別基金を充てるとしている。

(注1)空飛ぶクルマやドローンなどの手段を用いて、低空飛行による乗客・貨物輸送を事業化し、社会変革をもたらす活動を指す。

(注2)軍事航空や定期航空路線を除く民間航空活動の総称。中国語で「通用航空」。日本での一般航空の概念より若干広く、ビジネスジェット機や航空会社が運航するオウンユースチャーター機なども含まれる。

(高橋大輔)

(中国)

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