小売り大手が中古衣類・繊維製品の回収、21 トランプ

(英国)

ロンドン発

2024年08月06日

英国のファッション関連の業界団体ukftは7月30日、同団体によるACT UKプロジェクト(注)の一環として、英国の家庭用品小売り大手ドゥネルムが中古の衣類・繊維製品回収のオンラインサービスのトライアルを実施することを発表した。世界各地で活動しているキリスト教系慈善団体の救世軍(The Salvation Army)と連携する。消費者はドゥネルムのウェブサイトで配送ラベルを作成し、使用済み製品の引き取りを手配する。回収した製品は救世軍に送られ、中古品として販売されるか、リサイクルされる。ドゥネルムは同社製以外の製品についても対象となるとしている。

高まる持続可能な取り組みへの要求、規制圧力も見据えて

英小売りのマークス&スペンサー(M&S)は衣類の修繕を行うSOJOと連携し、同社製衣類の修繕サービスを開始する。8月に立ち上げる専用ウェブサイトを通じてサービスの選択、予約を受け付ける。ファスナーの付け替えやニットの穴の修繕など多岐にわたり、料金は最低5ポンド(約925円、1ポンド=約185円)。

同社はこのほかに、着用可能でもサイズが合わなくなった同社製の学校の制服の回収サービスも行っている。店内に設置した専用の箱に入れ、QRコードをスキャンすると、アプリを通じて制服以外の子供服が20%割引となる。回収した制服は慈善団体オックスファムが運営する店舗で古着として販売される。

同業ジョンルイスも一部の店舗で、あらゆるブランドの衣類やアクセサリーを対象とした修繕サービスのトライアルを7月22日に開始した。

持続可能な資源利用を推進する英国NPOのWRAPによると、着られずに保管されたままの衣服は英国全体で16億着。成人の平均所有数118着のうち26%が1年以上着用されていないとしている。

M&Sを含めた小売店の動きの背景として、持続可能な取り組みに対する消費者からの要求に加え、持続可能な取り組みを行っていないとみなされた場合に今後直面する可能性のある規制圧力を見据えたものとの見方もある(「BBC」6月28日)。

(注)政府系研究資金助成機関イノベートUKの補助を受け、衣類や繊維製品をリサイクルする際の分別や前処理を高度に自動化することを目指すプロジェクト。

(野崎麻由美)

(英国)

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