中銀、ミレイ政権が進める経済安定化計画の概要を公表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年08月08日

アルゼンチン中央銀行は7月23日、ルイス・カプート経済相とサンティアゴ・バウシリ中銀総裁が6月28日に行われた記者発表の場で述べた、ハビエル・ミレイ政権が進める「経済安定化計画」の概要をウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。

「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法または基盤法)が成立したことを受けて、6月28日に行った記者会見において両氏は、経済安定化計画の第2段階は中銀の有利子負債の削減、第3段階は資本取引規制の解除と説明していた(2024年7月2日記事参照)。

経済安定化計画の出発点はインフレ抑制で、第1段階では、インフレを引き起こすマネタリーベースの増加を防ぐべく、財政赤字ゼロ、中銀による財政ファイナンスゼロを実行した。続いてマネタリーベース増加のもう1つの要因である中銀の有利子負債利払いを削減するべく、政策金利を引き下げた。

現在進行中の第2段階では、広義のマネタリーベースに上限を設け、流動性管理を強化し、マネタリーベースを増加させる資金供給源の排除を目指している。

まず、中銀のバランスシートを健全化することで、中銀が銀行システムにおける流動性を適切に管理することを目指した。そのため、経済省は5月に資本性国庫短期手形(LECAP)を、7月に流動性財政手形(LEFI)をそれぞれ発行し、得られた資金によって中銀の有利子負債を国に移転した。また5月には、国債入札における中銀による一定価格での買い入れ義務を廃止したほか、7月には商業銀行と国債のプットオプション解約で合意し、資金供給源を排除した。

その他、マネタリーベースを増加させる主な資金供給源が、中銀の利払いと外国為替市場における中銀のドル買いだったことから、中銀は外国為替市場でドルを買いつつ、並行為替市場でドルを売ることで、ペソの供給量を調整している(注)。

現時点では、第3段階の資本取引規制の解除時期は見えないが、経済の安定化に向けてミレイ政権は、着実に政策を実行している。

(注)有価証券取引を通じてペソと外貨を交換する優良スワップ取引(CCL)、電子決済市場取引(MEP)が用いられる(ブラック ジャック ディーラー)。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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