英国で欧州初のフェムテックユニコーン企業が誕生

(英国)

ロンドン発

2024年08月07日

英国のスタートアップのフローヘルスは7月30日にシリーズCラウンドを通じて、米国ベンチャーキャピタル(VC)ゼネラル・アトランティックから2億ドルを資金調達した。これにより、評価額が10億ドルを超え、フェムテック分野で欧州初のユニコーンとなった。同社は個人向けの女性健康アプリを提供、生理痛や頭痛などを含む70以上の身体的症状をモニターし、人工知能(AI)を活用して生理周期と排卵時期を正確に予測する。また、有料版ではチャットボットによるパーソナライズされたアドバイスや、専門家とともに作成した教育的なハイパーブラックジャックを含む女性特有の健康に関するハイパーブラックジャックを得ることもできる。

女性創業者への資金やネットワークへのアクセスを提供する英国シエ・ベンチャーズ(Sie Ventures)によると、欧州のフェムテックスタートアップは、36.8%がプレシードまたはシードステージで、43.8%がVCから資金調達をしていないなど、未成熟市場となっている。今回のフローヘルスの資金調達は業界にとっても画期的な事例だ。創業者のドゥミトリー・ガースキー氏は「ユニコーンの地位を獲得したことは、当社だけでなく、フェムテック業界全体にとって重要なマイルストーンだ」と述べた。

なお、不妊治療向けのサービスを展開する米国のカインドボディーは2022年に11億5,000万ドルの評価額を受け、ユニコーン企業となった。米国では欧州よりも先行してフェムテック分野への投資が進んでおり、2018~2023年の資金調達額(累積)は40億ドルに達している(添付資料図参照)。フェムテックに投資を行う英国VCのラベンダー・ベンチャーズの創設者ゲイル・アームストロング氏は「欧州にはフェムテック産業が発展する潜在的な機会が多くあり、フェムテック市場への投資は女性に活力を与え、社会全体にとってもプラスの影響が大きい」と評価している(シエ・ベンチャーズ「欧州フェムテックレポート」)。

(ジャマール・アミナ、榊原達也)

(英国)

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