習国家主席がベトナム最高指導者と会談、インフラ連結などの協力強化
(中国、ベトナム)
北京発
2024年08月28日
中国の習近平国家主席は8月19日、北京市でベトナムのトー・ラム国家主席・共産党書記長と会談した。習国家主席は、ラム国家主席が書記長就任後初の訪問先として中国を選んだことは両共産党・両国関係を重視していることの体現だと評価した。
その上で習国家主席は、ベトナムを周辺国との外交における優先的方向と位置づけ、ベトナムが党の指導を堅持し、国情に合った社会主義の道を歩み、改革開放と社会主義現代化を推進することを支持するとした。
外交部によれば、ラム国家主席は、中国はベトナムの外交政策にとって最優先国であるとし、国防・安全保障、経済・貿易投資、インフラ連結などでの協力を希望した。また、海上問題についての意見の違いをコントロールし、ともに地域の平和と安定を維持することを願うとし、ベトナムは「一つの中国」政策を堅持するとした
翌20日には、「包括的戦略的協力パートナーシップ、中国・ベトナム運命共同体建設のさらなる強化に関する共同声明」を発表した(注)。
インフラについて、鉄道、高速道路、港湾インフラなどハード面とともに、スマート税関などソフト面での連結も強化する。中国はランソン~ハノイ間、モンカイ~ハロン~ハイフォン間の標準軌鉄道プロジェクトの計画策定と、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間の標準軌鉄道プロジェクトのフィージビリティースタディの支援に同意した。
また、双方の先進的な技術を有する企業の投資を支援し、ハイテク農業、インフラ、クリーンエネルギー、デジタルエコノミー、グリーン発展での協力を重点的に強化する。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定やASEAN自由貿易区の作用を発揮させ、EC(電子商取引)や展示会などのプラットフォームを活用し、税関での協力を強化する。ベトナムは、中国の「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」加入を支持するとともに、香港のRCEP加入を歓迎する。
その他、習国家主席はラム国家主席の招きに応じ、ベトナム訪問を約束した。
8月19日付の「環球時報」は、中国企業によるベトナムでの太陽光発電産業クラスター形成や都市鉄道の建設など、実務的な協力は著しい成果を上げているとし、両国関係は地政学的要因を超越したものとした。
(注)2022年11月発表の「中国・ベトナム包括的戦略的パートナーシップのさらなる強化と深化に関する共同声明」、2023年12月発表の「包括的戦略的協力パートナーシップのさらなる深化と引き上げ、戦略的意義を有する中国・ベトナム運命共同体構築に関する共同声明」を推進するための合意事項などが盛り込まれている。
(河野円洋)
(中国、ベトナム)
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