ミャンマー、ハイパーブラックジャック
(ミャンマー)
調査部アジア大洋州課
2024年08月14日
ミャンマー中央銀行は8月7日付で外国為替管理法第49条(b)の権限を行使し、企業が輸出で得た外貨収入の25%を1営業日以内に現地通貨チャットに両替しなければならないとする通達(No.37/2024)を発出した。同通達では、2023年12月6日付通達(No.26/2023)で規定している輸出で得た外貨収益の35%(2023年12月13日記事参照)ではなく、25%のみをミャンマー・チャットに交換すると改正し、8月8日から発効すると発表した。
政府は、現地通貨への兌換(だかん)率を改善することで輸出事業者へのインセンティブを高め、外貨収入増を期待していると考えられる。輸入事業者にとっても、公定レート以外で両替可能な外貨割合が増えることになる(注)。
同国では、2021年2月の軍部による権力掌握以降、輸出で得た外貨収入の現地通貨への兌換を義務付ける通達が繰り返し発出されている。概要は次のとおり。
- 2021年9月3日付通達(No.33/2021):輸出業者が得た外貨収入について、4カ月以内にチャットに両替することを義務化
- 2021年10月3日付通達(No.35/2021):輸出業者が得た外貨収入のチャットへの強制両替について、その期間を「4カ月以内」から「1カ月以内」に短縮
- 2022年4月3日付通達(No.12/2022)と指令(No.4/2022)、2022年4月5日付指令(No.5/2022)と指令(No.6/2022):外貨収入のチャットへの1営業日以内の強制両替などを含む外国為替管理の大幅な規制強化
- 2022年8月5日付通達(No.36/2022):輸出業者が得た外貨収入の35%はチャットへの強制両替を1カ月間猶予する緩和措置を発表
- 2023年7月13日付通達(No.15/2023):輸出業者が得た外貨収入の50%はチャットへの強制両替を1カ月間猶予する緩和措置を発表
- 2023年12月6日付通達(No.26/2023):輸出業者が得た外貨収入の65%はチャットへの強制両替を1カ月間猶予する緩和措置を発表
(注)ミャンマーの為替レートは、中央銀行が公表する公定レートと市場の実勢レート、外貨強制兌換を免除された法人や個人による外貨取引を中央銀行で一元化した「オンライン取引プログラム」で成立・承認されたレートの3つが存在する。
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(ミャンマー)
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