学生ローンをめぐる司法闘争続く中、3万5,000人の公務員を対象とした学生ローンの免除発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年07月19日

米国のバイデン政権は7月18日、教員、ソーシャルワーカー、軍人などの公職者向けの学生ローン免除プログラム(PSLF)の運用見直しにより、新たに3万5,000人の借り手に対する12億ドルの債務を免除したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の発表により、学生ローン免除対象者は476万人となった。6月にミズーリ州、カンザス州の地方裁判所が下した判決(米地方裁判所、ブラック ジャック)に伴い、バイデン政権が進めてきた学生ローン免除措置のうち、価値ある教育への貯蓄(SAVE)プランに基づくものは新たに執行することができない状態だが、PSLFによるものは同判決に抵触しない。

なお、6月の判決以降も、SAVEプランをめぐる攻防は継続している。6月の判決のうち、カンザス州地裁が下した判決に関してはバイデン政権の控訴により、控訴裁判所が地裁判決を保留。これを受け、バイデン政権は同判決で差し止められていた利率の削減(10%から5%に半減)などを含む規則を発効したものの、サウスカロライナ、アラスカ、テキサスの3州は控訴裁判所が下した保留の判断に関して、連邦最高裁に異議申し立てを行っており、SAVEプランの行方は不透明な状況となっている。また、ミズーリ州地裁が下した判決についても、バイデン政権は控訴していく方針のようだ(フォーブズ7月17日)。

バイデン政権は、高等教育へのアクセスが中間層への切符だとして重視し、11月の大統領選挙に向けて若年層の支持拡大のための重要な取り組みの1つとしてきた。SAVEプランをめぐる攻防は今後、ますます激化することが予想される。

(加藤翔一)

(米国)

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