ギリシャの欧州議会選は低投票率、政府は内閣改造を実施

(ギリシャ、EU)

ミラノ発

2024年07月04日

ギリシャで6月9日に実施された欧州議会選挙の結果を受け、キリアコス・ミツォタキス首相は内閣改造を行い、14日に新政権人事を発表した。大臣レベルでは、内務相、開発相、労働相、移民相、農村開発相が変更となった。

ギリシャ内務省によると、今回の投票率は41.4%と過去2回の欧州議会選挙の投票率(2019年が58.7%、2014年が59.3%)と比べてかなり低い結果となった。合計21議席のうち、与党・中道右派の新民主主義党(ND)〔欧州議会所属政党グループ:欧州人民党(EPP)〕が得票率トップの28.3%となり、7議席を獲得した(前回8議席)ものの、2023年の総選挙時の得票率(約41%)には遠く及ばず、同党が今回の選挙で掲げていた33%の目標にも達しなかった。今回の内閣改造は、欧州議会選で示された国内世論を背景に、閣僚人事の刷新を図ったもの。

その他の党の結果は、野党・急進左派連合(SYRIZA)〔欧州統一左派・北欧緑左派連盟(The Left)〕が得票率14.9%で4議席(前回6議席)、全ギリシャ社会主義運動 ・変化のための運動(PASOK-KINIMA ALLAGIS)〔社会・民主主義進歩連盟(S&D)〕が得票率12.8%で3議席(前回2議席)、ギリシャの解決策(ELLINIKI LISI)〔欧州保守改革(ECR)〕が9.3%で2議席(前回1議席)、ギリシャ共産党(KKE)〔無所属(NI)〕が9.3%で同じく2議席(前回2議席)となった。また、勝利(NIKI)、自由への道のり、理性の声がそれぞれ得票率3%以上で、今回初めて1議席ずつ確保した。

ミツォタキス首相は選挙後のインタビューで、「結果は期待するものではなかったが、(棄権票が多かったことに対し)国民の抱える痛みやメッセージは受け取った。あらゆる是正を講じることが政府の義務」とし、優先的に取り組みたい政策分野のうち、インフレや食料品の価格上昇問題に予算の範囲内で対応していくと述べた。

また、6月26日に開かれたNDの議会グループ会合でミツォタキス首相は、ダイナミックな再出発を訴えかけ、2027年までの政権の任期を見据え、最低賃金や平均給与の引き上げ、税金のさらなる引き下げ、国を守り国民の声を皆に届けていくなど、引き続き公約の実現に向けて前進していくとした。

(井上友里、山本千菜美)

(ギリシャ、EU)

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