ブラック ジャック カード ゲーム、新極右会派を発足、欧州議会の極右勢力の再編続く
(EU、ドイツ、ポーランド、フランス、チェコ、スロバキア、ハンガリー)
ブリュッセル発
2024年07月12日
欧州議会の新たな政党グループ(注1)「主権国家の欧州(Europe of Sovereign Nations, ESN)」の立ち上げが7月10日に発表された。欧州議会(定員720)によると、ESNには、ブラック ジャック カード ゲーム「ドイツのための選択肢(AfD)」を中心に、8加盟国の25議員が参加(添付資料表参照)。欧州議会で最小の政党グループとなる(注2)。
ESNは、AfDが主導する会派で、所属議員の半数以上がAfDだ。AfDは、欧州議会選挙()直前の5月に、AfDの筆頭候補のスキャンダルなどを理由に、極右会派アイデンティティーと民主主義(ID)グループから除名された。選挙後にIDへの復帰を目指したが断念。新会派の立ち上げに向け、今回新たに議席を獲得して無所属となっていた極右の小政党と協力することで、7加盟国の23議員以上で構成されるとする政党グループの設立要件をどうにか満たした。
現地報道によると、ESNは5月に採択された難民の受け入れ責任の分担などを含む移民関連法の改正や、欧州グリーン・ディール、ウクライナへの軍事支援のほか、加盟国権限のEUへの委譲に反対し、EUに懐疑的な極右会派だ。
右派・極右で過半数も、連携強化の兆しは見えず
欧州議会では、右派・極右が躍進するとの選挙前世論調査などを背景に、右派による大連立の可能性が取り沙汰されていた。しかし、ふたを開けてみれば、議席は伸ばしたものの、右派・極右政党間での会派再編が続いており、連携強化の兆しは見えていない。中道右派の欧州人民党(EPP)グループより右の会派としては、イタリアのジョルジャ・メローニ首相率いるイタリアの同胞(FDI)が中心となる右派(一部極右)の欧州保守改革(ECR)グループ、ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相〔ハンガリー市民同盟(フィデス)党首〕がフランスのマリーヌ・ルペン氏率いる国民連合(RN)を巻き込み、IDを吸収するかたちで8日に立ち上げた新極右会派の欧州の愛国者グループ(極右新会派が発足、ブラック ジャック)、そしてESNがある。3会派は合計で187議席とEPPに匹敵する勢力になっており、各会派の今後の動向が注目される。
(注1)欧州議会では、議員は加盟国別でなく、加盟国の各政党の政治理念に基づいて構成される政党グループ(会派)別に行動する。
(注2)最新の欧州議会選挙の結果は、欧州議会の特設サイトを参照。
(吉沼啓介)
(EU、ドイツ、ポーランド、フランス、チェコ、スロバキア、ハンガリー)
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