医療機器大手ニプロ、約3億9,800万ドル投じて米ノースカロライナ州に製造拠点設立へ
(米国、日本)
アトランタ発
2024年07月23日
米国ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は7月17日、医療機器大手ニプロの米国子会社ニプロメディカルコーポレーション(本社:フロリダ州マイアミ)が同州ピット郡グリーンビルを同社初の北米製造拠点に選定したと発表した。今後5年間で3億9,780万ドル以上を投じて232人を雇用する見込み。2024年第4四半期(10~12月)に着工し、2027年7月の稼働開始を予定している。
新設する施設では、糖尿病や慢性腎臓病、その他腎臓疾患の最先端医療機器を生産する予定だ。面積55万平方フィート(約5万1,000平方メートル)の施設は、医療従事者向けのメディカルトレーニングセンター、カスタマーサービスセンターも併設する。透析医療の提供と製薬会社への医薬用注射針の供給に重点を置き、米国市場の医療ニーズに直接対応することを目指す。また、米国に生産拠点を置くことで、グローバルな輸送必需を大幅に減らし、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。
クーパー知事は「ノースカロライナ州東部にまた新たな先端企業を迎えることができ、大変うれしく思う。ニプロは、ヘルスケア分野のリーダーが集うグリーンビルのコミュニティーに加わるだけでなく、事業の成功に必要な熟練した献身的で多様な労働力によって、ノースカロライナ州東部のライフサイエンス産業を成長させていくだろう」と述べた。また、ニプロの山崎剛司・専務取締役国際事業統括国際事業部長兼ファーマパッケージング事業部担当専務は「お客さまのそばにいることで、お客さまのニーズによりよく対応し、タイムリーで効果的なソリューションを提供することが可能になる」と語った。
ノースカロライナ州経済開発機構(EDPNC)によると、同州には225社の日本企業が進出しており、過去10年間(2014~2023年)で175億8,000万ドルの投資と9,220人の雇用を公表している。同州への外国直接投資の半分近くを占め、州最大の投資元となっているという(注)。
なお、新施設は、同州の雇用開発投資助成金(JDIG)の対象で、雇用創出と投資の目標達成の確認後に、12年間にわたって最大248万4,000ドルがニプロに還付される内容となっている。
(注)同州中央部に位置するリサーチ・トライアングル・リージョンと呼ばれる地域では、アステラス製薬、協和キリンといったライフサイエンス関連企業の投資が相次いでいるほか、電気自動車(EV)用バッテリー工場のためのトヨタ自動車による約139億ドルの投資や、2024年4月に岸田文雄首相が同州を訪問した際に発表された富士フイルムの12億ドルの追加投資など、日本企業の同州への関心は高い(アステラス製薬、カード ゲーム、協和キリン、2億ドルを投じ米トランプ、関連ギャンブル ゲーム 無料、ポスト・シリコンバレーを探る-米国・エコシステム現地取材、トヨタ、米国のEV用バッテリー工場に80億ドルの追加オンライン、2024年4月16日記事参照)。
(横山華子)
(米国、日本)
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