第3回タイ・EU FTA交渉と第7回ACFTA 3.0交渉実施

(ASEAN、タイ、EU、中国)

バンコク発

2024年07月16日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は6月25日、タイ・EU自由貿易協定(FTA)の第3回交渉が同月17日から21日にかけて、ベルギーのブリュッセルで実施されたことを明らかにした。交渉は20の作業部会に分かれて行われた。第4回交渉は11月にバンコクで実施される予定。

EUとのFTA締結は、タイの現政権にとって最優先事項の1つだ。購買力の高いEU市場への輸出拡大のほか、EUからの投資を呼び込んだり、EU向け輸出を志向する製造業を誘致したりするなど、外国直接投資(FDI)増大にも追い風となることが期待されている。タイとベトナムにそれぞれ生産拠点を構えている日系製造業などからは、同FTA交渉の進捗や協定内容への関心が高い。EUとのFTAを有するベトナム内の工場との比較で、タイとベトナム、どちらに拡張投資していくかという企業の経営判断の重要な要素になるという意見もある。

DTNは次なる交渉に向け、タイの事業者など利害関係者に進捗状況を説明するとともに、同協定に対する意見をヒアリングするという。なお、DTNによると、タイの交渉団は政府調達、国有企業、競争政策、貿易と持続的な開発、エネルギー・原材料などの分野で、EU側との交渉が難航しているという。

また、DTNの7月5日の発表によると、第7回ASEAN中国FTA改正(ACFTA 3.0)交渉が6月24日から28日にかけて、中国の広西チワン族自治区南寧市で行われた。DTNによると、規格、技術規制、適合性評価手順や、ACFTA 3.0で新たに追加されるサプライチェーン連結性、貿易競争、消費者保護といった内容で交渉が進歩し、全体の70%まで合意に達したという。

ASEANと中国の双方は2024年に改正交渉を妥結することを目指しており、9月に行われるASEAN中国経済相会合までに、さらに議論を早めたい意向だ。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、タイ、EU、中国)

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