サンパウロ州上下水道公社の民営化が完了

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年07月24日

ブラジルのサンパウロ州政府は7月23日、サンパウロ州上下水道公社(Sabesp)の民営化が完了したと発表した。Sabespはブラジル最大の水道事業者で、サンパウロ市を含む375の自治体、約3,000万人に上下水道サービスを提供している。

今回の民営化は2段階に分けて実施された。6月24~28日には、長期的な株式保有と経営への貢献を条件とする「リファレンス株主」として、ブラジルの電力持ち株会社エクアトリアルが選定された。同株主の条件は株式の15%を単独で取得することで、経営審議会メンバーの3分の1およびその会長を指名する権利を得るものの、2029年12月までは保有する株式を売買することはできない。続く第2段階として7月1~15日には、個人投資家や投資ファンドなどに向けてSabesp株式17%の公募が行われ、7月22日にその清算が完了した。これにより、州政府の株式保有率は50.3%から18.3%となり、147億レアル(約4,116億円、1レアル=約28円)の資金調達に成功した。

州政府は、民営化の主な目的は2029年までに州内の農村や貧困地区への上下水道サービス普及を実現するための資金調達と説明している(注)。この点について、ナタリア・レゼンデ環境・インフラ・物流局長は、2023年10月時点で州政府のウェブサイト上で「目的実現のためにはさらなる投資が必要。州政府のSabesp株保有率を下げることで、料金の引き上げを抑えつつ、株式公募によって得られた資金を活用することができる」と説明している。

(注)Sabespの株式公募によって得られた資金の一部と州政府が今後保有する株式の配当金は、新設される「サンパウロ上下水道サービス普遍化支援基金(FAUSP)」へ拠出され、補助金として活用される(2023年12月20日記事参照)。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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