ペルー金融当局、電子決済の急拡大で安全対策強化
(ペルー)
リマ発
2024年07月10日
ペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)は6月26日付の決議02286-2024号を公表し、カードやスマートフォンを用いる電子決済を対象に、金融機関を通じて安全対策を強化する。
2025年7月1日以降に発行されたクレジットカードとデビットカード(ともにスマートフォンのアプリ型を含む)を用いた電子決済については、金融機関がICチップまたはスマートフォンに記録された個人ブラック ジャック ストラテジー、利用者が設定した暗証番号(PIN)、スマートフォンによる生体認証など、複数のデータを組み合わせた本人確認を行う。また、2025年6月30日までに発行・設定されたものでも、可能な限り同様の本人確認を行うこととしている。
2025年7月1日以降、消費者が認識していない電子決済によって口座から引き落とされた損害については、消費者の責任による場合を除き、金融機関がその責任を負うことも明記した。
この措置の背景には、スマートフォン普及に伴う電子決済の急速な広がりがある。ペルー中央銀行の統計によると、インターネットバンキングを介した送金などの銀行間取引は、2021年に400万件だったが、2023年には6,500万件まで拡大している。また、デビットカード(スマートフォンのアプリ型を含む)による決済は、2021年の3,800万件から2023年の7,700万件まで増加している。
SBSはフィッシング詐欺やスキミング被害を防ぐため、国民にも注意を呼びかけている。具体的な対策として、口座残高を頻繁に確認し、見覚えのない引き落としがあれば、金融機関に相談することや、カードなどの取引限度額を低く設定しておくこと、店舗での決済時にカードやスマホを店員に渡すことは避け、POS端末を店員に持ってきてもらうことなどを推奨している。
(石田達也)
(ペルー)
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