米主要産業団体、バイデン政権にFTAの重要性訴える書簡を送付
(米国)
ニューヨーク発
2024年07月17日
米国経済全体を代表する40以上の業界団体からなる連合は7月11日、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)およびラエル・ブレイナード大統領補佐官(経済政策担当)に対し、米国企業の利益となるような相手国と「商業的に有意義な交渉」を追求するよう要請する書簡を送った。米国の通商専門誌「インサイドUSトレード」が同日、報道した。書簡は主に、バイデン政権がこれまで取り扱ってこなかった市場アクセス交渉を求める内容となっている。
書簡では、6月に行われた大統領輸出評議会(PEC)での提言や(第3回米大統領輸出評議会、ブラック)、大統領経済諮問委員会(CEA)の分析を引用した上で、「今こそ政権は、米国の同盟国やパートナー国との双方向貿易において、商業的に有意義な交渉を含む将来の米国の通商政策の道筋を描く時だ」と訴えた。具体的には、米国政府全体の通商政策の指導者は、同盟国やパートナー国との特恵貿易協定が、全ての米国人の経済機会の創出などにとって有効であることを認識すべきだと指摘した。特に中国が、米国の同盟国やパートナー国などと新たな自由貿易協定(FTA)交渉や、既存のFTAのアップデートを行っており、米国がこれら同盟国などとの通商関係強化に戻ることは極めて重要だと説いた。米国の農業生産者が、輸出市場で対等な条件で競争できるようにすべきだと続け、市場アクセス交渉の重要性を指摘した。
他方、輸入の面においては、関税引き上げは低所得の人々によって主に負担されていることを認識すべきと述べた。バイデン政権は5月に1974年通商法301条に基づく対中追加関税の引き上げを発表しており、一部の品目の関税率は8月1日から引き上げられる予定となっている(米USTR、301条対中ブラック)。
通商政策が支援すべき具体的な産業分野には、半導体、先端バッテリー、電気自動車(EV)、バイオものづくりを挙げた。提言の最後には、「貿易、サイバー、気候変動などの世界的なルールをわれわれが書かなければ、中国などの価値観を共有しない国によって書かれるかもしれない」とするジョー・バイデン大統領の認識を通商政策に反映させるべきだと説いた。
書簡には、ビジネス・ソフトウエア・アライアンス(BSA)、米国商工会議所、米国半導体工業会(SIA)、全米小売業協会(NRF)、全米外国貿易評議会(NFTC)などが署名した。米国商工会議所やSIAは、米国通商代表部(USTR)によるサプライチェーン強靭(きょうじん)化に資するパブリックコメントにおいても、市場アクセス交渉を含むFTAの重要性を訴えていた(関連ブラック ジャック やり方)。一方でバイデン政権は、市場アクセスを中心とした従来の通商政策から脱却し、サプライチェーンの強靭化や労働者の権利保護を通商政策の中心に据えることの必要性を繰り返し説いている()。今回の書簡によって、政権と産業界の通商政策に対するスタンスの違いが、あらためて浮き彫りになったかたちだ。
(赤平大寿)
(米国)
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