中国の主要港で混雑による滞船発生、紅海混乱などが影響
(中国)
上海発
2024年07月19日
紅海でイエメンのフーシ派による船舶攻撃の危機が生じる中、シンガポールをはじめとした世界の主要港では、海運の到着スケジュールの遅延などにより、コンテナの混雑が生じている(2024年6月3日、)。また、この危機によって欧州向け航路では、南アフリカ共和国の喜望峰を迂回する商船が増加したことで、海上運賃も上昇している。中国の港でも主要港で船舶の待ち時間の発生や、輸送費の高騰が起きている。
ドイツの海運会社ハパッグ・ロイド(HAPAG-LLOYD)は7月2日、コンテナ取扱量で世界最大の中国・上海港では、ターミナルによって状況は異なるとしつつ、船舶の混雑により48時間から72時間の待ち時間が生じていると公表した。また、コンテナ取扱量世界第3位の中国・寧波港(浙江省)でも、最大48時間の待ち時間が生じているとした。
上海航運交易所が発表する上海発のコンテナ船運賃指数(SCFI)は7月12日、3,674.86ポイントを記録。1,000ポイント前後で推移していた2023年12月時点から約3.5倍に上昇している。同日時点の航路別指数では、欧州向け3,282.9ポイント(前週比6.2%上昇)、米国西海岸向け1,688.08ポイント(同5.5%上昇)、米国東海岸向け1728.05ポイント(同4.5%上昇)となっている。
ジェトロは7月12日、上海市に拠点を置く郵船ロジスティクスの担当者に物流の現状についてヒアリングを実施した。担当者は中国の港の状況について「上海港、寧波港などでは、船が港に入れない滞船が生じ、入港まで長時間を要している」と指摘した。また、欧州向けで上述の紅海危機による影響を受けているとしたほか、「米国東海岸、カナダ、欧州各国の港湾では、港湾の労使交渉が難航しており、海上輸送の通常の運航が難しいリスクがさまざまなところに生じている。余裕を持った輸送計画の提案や、海上輸送、鉄道輸送、航空輸送を組み合わせた複合一貫輸送の提案を顧客に対して行っている」と語った。今後の見通しについては「2024年中は、この輸送運賃の高騰が続く可能性が高いとみているが、現在起きている混乱の諸原因が今後解消していくことで(運賃の高騰も)落ち着いてくる可能性もある」との見方を示した。
(神野可奈子)
(中国)
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