上海協力機構サミットが開催、影響力拡大と結束強化を確認
(カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)
調査部欧州課
2024年07月11日
上海協力機構(SCO)首脳会議が7月3~4日、カザフスタンの首都アスタナで開催された。SCOの役割を拡大し、世界の平和・安全・安定を固める条件を作り出し、新しい世界秩序を構築するとした「アスタナ宣言」をはじめ、25の文書が採択された。また、ベラルーシの正式加盟が承認され、加盟国が10カ国になった(注)。首脳会議の後、オブザーバー国とパートナー国を加えた「SCO+」形式の拡大会議が初めて開催され、国連のアントニオ・グテーレス事務総長など国際機関の代表者も参加した。
SCOのウェブサイトによると、加盟10カ国の総国土面積は3,500万平方キロメートルを超え、人口35億人以上、世界のGDPの約4分の1を占め、世界貿易のシェアは15%以上だ。議長国カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は首脳会議の演説で、SCOが大きな潜在力を持ち、世界的で重要な役割を担う組織に成長したと述べた。1年の活動を振り返り、投資作業部会の活動再開や自国通貨決済への移行の進行により、加盟国間の貿易と経済協力がダイナミックに発展したと評価した(カザフスタン大統領府ウェブサイト)。
採択文書の1つ「2030年までの上海協力機構の経済発展戦略実施のための行動計画」はタジキスタンが発案し、幅広い協力分野での具体的措置の策定を示唆するもので、カザフスタンのトカエフ大統領が「SCO+」で発表した。同大統領は、特に輸送分野の重要性を強調し、加盟各国が中国の「一帯一路」構想とカスピ海横断国際輸送路および南北輸送路の連結に積極的に取り組んでおり、これによる強大な相乗効果が期待されると述べた。
「SCO+」では、中国の習近平国家主席が演説し、未曽有の変化が進行している現在、共同体意識を確立して自国や地域の実情に合った発展の道を進むべきとし、友好・善隣・平等・相互支援といったSCOの理念を柱としたコミュニティーの建設を参加国に呼びかけた。国連のグテーレス事務総長は、SCOは世界最大の地域組織として力があり、多国間主義の中心目標である平和を達成しなければならないと述べた。
「アスタナ宣言」によると、中国がSCO議長国をカザフスタンから引き継ぎ、2025年のサミットは同国で行われる予定。
(注)SCOは2001年、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンによって設立された。その後、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシが加盟した。オブザーバー国にアフガニスタンとモンゴル、パートナー国にアゼルバイジャン、アラブ首長国連邦、アルメニア、エジプト、カタール、カンボジア、クウェート、サウジアラビア、スリランカ、トルコ、ネパール、バーレーン、ミャンマー、モルディブがある。
(小林圭子)
(カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)
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