ラマポーザ大統領、新内閣を発表、DAやIFPが入閣
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2024年07月02日
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は6月30日、国民統一政府(GNU)政権下での新内閣の閣僚名簿を発表した。今回、経済閣僚ポストがどの程度、民主同盟(DA)に割り振られるか、特に貿易産業競争相ポストをDAが押さえるかどうかが注目を集めていた。
テレビ演説は同日午後9時から予定されていたが、約1時間遅れて午後10時前の発表となり、直前まで調整が続いていたことが示唆された。
閣僚ポストは、前回の28から32に増えた。うち、20人がアフリカ民族会議(ANC)から、6人がDAから入閣した。インカタ自由党(IFP)2人、愛国同盟(PA)など4政党もそれぞれ1人ずつ閣僚ポストを得た。
引退を表明したエブラヒム・パテル貿易産業競争(DTIC)相の後任にはANCのパークス・タウ氏、DTIC副相の1人にはDAのアンドリュー・ホワイトフィールド氏が就任した。主要経済閣僚ポストでは、財務相にイノック・ゴドングワナ氏、鉱業・石油資源相にはグウェデ・マンタシェ氏、電力・エネルギー相(注)にはコシエント・ラモコパ氏が就任した。農業相にはDA党首のジョン・スティーンヘイゼン氏、内務相にはレオン・シュレイバー氏が就いた。
今回の閣僚人事からは、ANCが主要な経済政策を引き続き担うという意思表示の一方、DA側も副大臣ポストを得ることで経済政策に一定の影響力を得つつ、農業、基礎教育、通信・デジタル技術、公共事業・インフラなどの分野ではリーダーシップを取ることで折り合ったとみることができる。
しかし、政党間のバランスを重視した結果、閣僚ポストが増加したことに関しては、行政コスト増につながるとの批判も出始めている。
ラマポーザ大統領は演説で、「持続可能な経済成長と社会正義の実現を目指し、11の政党が協力するかたちで今回の閣僚が決まった」と強調した。各省庁の再編成と特定分野に注力することに重点を置いていると述べた。
ビジネス界は、今回の組閣をおおむね好意的に受け止めている。経済団体のビジネスリーダーシップサウスアフリカ(BLSA)は「新政権はスタートラインに立った。この成否は今後の1カ月にかかっている」と述べた。
(注)前政権では鉱物資源・エネルギーと電力が分かれていたが、新政権下では再編されラモコパ電力・エネルギー相が、エネルギーと電力を一体的に扱うことになる。
(的場真太郎、堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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