中国日本商会2024年白書、人的交流やデータ移転、政府調達を建議

(中国、日本)

北京発

2024年07月11日

在中国日系企業などで構成する中国日本商会は7月10日、「中国経済と日本企業2024年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発刊した。白書は中国の中央・地方政府との対話促進を目的に、中国各地の商工会組織の日系企業が直面する課題の分析や解決のための建議をまとめたもの。中国ビジネスに最前線で取り組む会員企業など約70人が執筆を担当し、中国日本商会白書委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集を行った。

今回で第15版となる本白書は、全体コンセプトを「公平性と予見性・透明性の向上によるビジネス機会の確保」に設定のうえ、建議を3つの柱に集約した「建議の3要素」は「公平な競争」「対外開放」「行政の予見性・透明性向上と円滑化」とした。

また、重点分野を「人的交流に関する問題」「データの越境・管理に関する問題」「政府調達に関する問題」の3点とした。

「人的交流」に関しては、円滑なビジネスの推進に向け、日本人の15日以内の訪中ビザ免除措置の再開を要望している。中国日本商会の本間哲朗会長は7月10日の記者発表で、「日本と中国の人の往来が安心・安全なかたちで行える環境作りを願っており、このことで大きく日中関係の潮目が変わると切に願っている」と述べた。

「データの越境・管理」は、前年の2023年白書でも重点分野としていた。2024年3月に公布された「データ域外流通を促進・規範化する規定」()により、企業負担が緩和されたことは評価できるとしたうえで、2024年白書では、関連法規に基づくデータの域外移転に関する運用が本格化するなか、定義の曖昧さや前例がないことによる手続きの不透明さが依然として存在しており、事前ガイダンスの提供や関係政府部門間の調整・連携、運用で外資系企業が差別的に扱われないことを要望するとしている。また、関連規定の策定に当たっては、外資系企業を含む産業界の意見を十分に聴取・勘案するよう要望している。

「政府調達」に関しては、外商投資法および外商投資法実施条例に規定された内資外資平等の原則を徹底的に貫徹し、政府調達と公共事業入札募集などの活動において、外商投資企業の製品とサービスが排除されることのない、内資企業、外資企業が平等に市場競争に参加できる環境が確立されることを要望している。

記者発表では、本間会長が「本白書を通じて日中両国の対話が促進され、両国間の絆がいっそう深まり、さらなる発展につながることを切に願っている」と述べた。

(亀山達也)

(中国、日本)

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