共英製鋼、米テキサス州エルパソでの製鋼工場新設などに2億3,000万ドル投資

(米国、日本)

ヒューストン発

2024年07月23日

鉄鋼メーカーの共英製鋼(本社:大阪市北区)は7月19日、米国テキサス州エルパソにある子会社ビントンスチールで2億3,000万ドルの設備投資を行う計画を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。設備老朽化への対応と設備能力増強のため、製鋼工場の新設と既存の圧延工場設備の一部改造を計画している。

ビントンスチールは鉄スクラップを主原料として、電炉を用い、鉄筋(注)や鉱石の粗破砕に用いる鉱石粉砕用鉄球などを生産している。予定している設備投資完了後には、現在より2割増強となる年産約30万トンの製造販売を見込んでいる。生産性の改善による大幅なコスト削減と、生産量・出荷量の拡大を図り、収益の改善と安定化を目指す。2024年12月に着工し、2027年1月に稼働開始を予定している。

米国共英製鋼社長兼ビントンスチール社長の北田正宏氏は今回の発表の背景として、「テキサス州をはじめ、米国内では人口増が予測され、インフラ、重点産業の工場建設をはじめ、建設分野で鉄筋に旺盛な需要が期待できる」「米国内での生産拡大は、政府によるインフラ投資計画で米国産を優遇するバイアメリカンや、1962年通商拡大法233条に基づく鉄鋼製品の輸入への追加関税など、変化する事業環境から、顧客の当社への増産要請にも対応しやすくなる」と述べている。

現在のビントンスチールは1962年にボーダースチールとして設立、電炉・圧延工場の操業を開始した。2007年にミタルスチール、2016年にブラックダイアモンドが買収。2016年12月に共英製鋼の米国法人が4,600万ドルを出資して買収した後、ビントンスチールとして運営を開始している。

(注)共英製鋼はビルやマンション、高速道路などに広く使用される鉄筋コンクリート用棒鋼の製造・販売量で日本国内トップシェア。

(キリアン知佳)

(米国、日本)

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