半導体関連の展示会SEMICON WEST、米サンフランシスコで開催、AI需要で活気
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2024年07月19日
半導体関連の展示会「SEMICON WEST 2024」が7月9~11日、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市のモスコーニセンターで開催された(注1)。業界団体のSEMIが毎年主催しており、同イベントでは半導体製造装置や材料などの展示会と、多数のセミナーやパネルディスカッションで、最新の技術動向や市場予測などが紹介された。主催者によると、2024年は北米を中心に約645社が参加、うち約40社が日系企業で、東京エレクトロンはプラチナスポンサーを務め、半導体関連産業の日系企業の存在が際立った。
オープニングセッションの報告では、2024年の半導体製造装置のグローバル販売額は前年比3.4%増の1,090億ドルに達して、新記録を樹立する見込みで、人工知能(AI)技術の多様な応用により半導体産業は強固な成長を見せていると紹介された。
特にウエハー製造装置部門(ウエハー処理、製造施設、マスク/レティクル装置)の販売額は、中国の大量購入と、AI需要によるDRAM(注2)や広帯域幅メモリ(HBM)への大規模投資で、2024年に980億ドル、2025年には14.7%増の1,130億ドルに成長が見込まれるという。
そのほか、人材開発、スマートマニュファクチャリング、スマートテクノロジー、サステナビリティー、スマートモビリティー関連のテーマの講演やパネルディスカッションも行われた。
ブラック クイーン ブラック ジャックは初出展の日系企業数社にヒアリングを実施した。村田製作所は電力変換効率を最大化するために設計した一体型電圧レギュレーター(IVR)を展示。担当者によると、AI需要増加による北米の半導体装置関連産業への需要増を見込んでの出展で、IVRは高速で効率的な電力供給が求められるデータセンターでの利用が可能だとした。藤倉化成は導電性ペースト「ドータイト(DOTITE)」を展示。エネルギー損失を最小限に抑える材料で、担当者は「北米市場の顧客から多くの関心を得られ、商談につながった」と語った。スタートアップのエレファンテック(Elephantech)は、微細なインクジェット印刷技術を用いる基板製造技術「P-Flex」を紹介。主催者から講演依頼を受けての出展で、従来の方法より基板製造にかかわる材料使用量を大幅に削減できる技術が注目を集めた。
次回のSEMICON WESTは、2025年10月7~9日に米アリゾナ州フェニックスで開催予定。その後はサンフランシスコとフェニックスで交互に開催される予定だ。
(注1)SEMICONは、SEMICON EUROPA(ミュンヘン)、SEMICON CHINA(上海)、SEMICON JAPAN(東京)など世界各地で開催されている。
(注2)コンピュータやその他の電子機器で広く使用されるランダムアクセスメモリー。
(松井美樹)
(米国、日本)
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