米最高裁、トランプ氏の免責を一部認める判断、最終確定は大統領選後の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2024年07月02日

米国の最高裁判所は7月1日、ドナルド・トランプ前大統領が2020年の大統領選挙で、選挙結果を覆そうと支持者を扇動し連邦議会襲撃を促したとの疑いで起訴された件を巡り、前大統領は刑事訴追からの絶対的免責を受ける権利を有するとの判断PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を下した。ただし、公的行為に限られるとし、非公式の行為に対しては免責されないとした。

最高裁は、2020年の選挙結果を覆そうとするトランプ氏の連邦裁判を下級審に差し戻し、議会が襲撃された2021年1月6日までの同氏の行動が、免責に値するか否かをあらためて判断することとした。これに伴い、最終的な判決が下されるのは11月以降になるとみられており、トランプ氏にとって大統領選挙に向けて追い風となる(議会専門誌「ザ・ヒル」7月1日)。なお、今回の判断は保守派の6人の判事が賛成し、リベラル派の3人の判事は反対した(注)。

トランプ氏は、今回の判断の対象となっている首都ワシントンで選挙結果を覆そうとした件のほか、3つの刑事事件を抱えている。1つは不倫関係にあったとされる女性への口止め料の件で、ニューヨーク(NY)州において有罪評決が下されており、量刑は7月11日に言い渡される予定となっている()。残りの2つは、フロリダ州の私邸での機密資料保持と、ジョージア州で2020年の大統領選挙の結果を覆そうとした件で、これらに関する判決も大統領選挙後に下される見通しとなっている。​

こうした裁判所の判断がどこまで支持率へ影響するかは未知数だが、NY州での有罪評決後の世論調査ではトランプ氏に有利な結果が示されている(ブラック クイーン ブラック)。また、今回の判断が下される数日前に行われたジョー・バイデン大統領との大統領候補者による討論会においても、世論調査ではトランプ氏が「勝利」したとされている()。

ジェトロの特集ページ「オンライン ブラック ジャック・分析レポート」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注)最高裁判事の構成は、

(赤平大寿)

(米国)

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