閣僚を更迭するも、Z世代の不満は収まらず
(ケニア)
ナイロビ発
2024年07月16日
ケニアのウィリアム・ルト大統領は7月11日、リガティ・ガチャグア副大統領(注)およびムサリア・ムダバディ内閣筆頭長官兼外務・ディアスポラ担当長官を除く、全ての閣僚を更迭したことを発表した。ルト大統領は「(支持基盤の)より広範な政府(Broad-based government)」を目指すとしており、閣僚不在の間は各省の事務次官が実務を担当する。加えて、翌12日には警察トップのジャフェス・クーム長官が辞任した。事実上、6月26日の大規模デモで多数の死傷者を出したこと(2024年6月28日記事参照)など一連の対応の責任を負ったかたちだ。
ルト大統領は国民から猛反発を受けた増税案を6月26日に白紙撤回したものの、その後もナイロビの中心部(Central Business District:CBD)などでは断続的にデモが続いている。SNS上では「#RutoMustGo(ルト大統領は辞任せよ)」として、大統領辞任やデモ実施の呼びかけなど、批判的な投稿は止まらず、その熱は冷めていない。
今回のデモの中心といわれている「Z世代」と呼ばれる若年層などには特定のリーダーが存在せず、ルト大統領も7月5日にはSNS上でZ世代との対話を生放送するなど対応に腐心している。ルト大統領は同日、47の国営企業の解体や各省の副長官ポストの廃止、大統領・副大統領夫人オフィスの廃止、政府関係者の不要なブラック ジャック やり方 カジノ出張の自粛など数多くの改革案を打ち出した。しかし、ケニアに増税を強いたとしてIMFを非難する声や、ハイチの治安維持にかかる警官派遣をケニア政府に強いたとして駐ケニア米国大使の更迭を求める声が上がるなど、その不満は収まるどころか、むしろさまざまな方面に飛び火している。現地紙は、ケニアにおけるZ世代の抗議行動は、ウガンダ、タンザニア、ナイジェリア、ガーナなど他のアフリカ各地の若年層にも大きな影響を与えている、と報じている。
7月16日には再び大規模なデモの実施が呼びかけられているなど、緊張感が高まっており引き続き注意が必要だ。経済面では、格付け大手のムーディーズ(Moody’s)がケニア国債の格付けをB3からCaa1に引き下げた。ケニアの財政状況の深刻化と行政の機能マヒが懸念されている。
(注)副大統領の罷免には議会の弾劾手続きが必要で、大統領権限では更迭できない。
(佐藤丈治)
(ケニア)
ビジネス短信 219efb45c734b36b