G7首脳、AIガバナンスに対するアプローチの相互運用性向上で一致
(米国、イタリア、日本、英国、フランス、ドイツ、カナダ、EU)
ニューヨーク発
2024年06月18日
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が6月13~14日にイタリア・プーリアで開催され、最終日14日にG7首脳の共同声明(コミュニケ)が発表された。
コミュニケで人工知能(AI)に関しては、人権侵害などのリスクを軽減しつつ、AIの可能性を活用するために、包摂性を促進する国際的なAIガバナンスの形成が必要との共通認識が示された。一方で、AIガバナンスに対するアプローチはG7各国間で異なる可能性があるとした上で、G7各国が確実性・透明性・説明責任を促進するためにAIガバナンスの相互運用性の向上を強化するとして、具体的にはベストプラクティスの共有などを行うとした。
また、G7各国は「広島AIプロセス」の成果を前進させる重要性を認識し、G7以外の国や組織(注1)の参加を歓迎するとした。広島AIプロセスは2023年5月のG7広島サミットで発足したAIの開発・利用・規制に関して議論する枠組みで、2023年12月に「全AI関係者向けの広島プロセス国際指針」や「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」などの成果文書が発表されている。今回のコミュニケでは、国際行動規範の履行状況を監視・報告する枠組みや、国際行動規範に自主的に取り組む組織を認証する制度の開発に今後取り組むことも示された。
このほか、コミュニケでは、労働や雇用におけるAIの活用に関する行動計画をG7各国が新たに策定するなどの今後の取り組みが示された。
米国ホワイトハウスは同日にG7サミットに関するファクトシートを公表した。その中で、G7各国のAIガバナンスに対するアプローチの相互運用性を高める取り組みとして、米国のAI安全性研究所(AISI、注2)とG7各国の同様の機関との協力を深化させ、AIの開発・利用に関する国際基準を推進するなどとしている()。
(注1)広島AIプロセスに賛同する国・地域の自発的な枠組みのフレンズグループには、2024年5月時点でG7各国を含む52カ国・地域が参加している。
(注2)米国AISIは5月に同研究所のビジョン、ミッション、ゴールズを発表した。関係者との調整を通じたAI安全性確保の手法の確立などを戦略目標に掲げている。
(葛西泰介)
(米国、イタリア、日本、英国、フランス、ドイツ、カナダ、EU)
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