米印の第2回重要新興技術対話開催、半導体など先端技術分野で協力拡大を確認
(米国、インド)
ニューヨーク発
2024年06月21日
米国・インド両政府は6月17日、米印重要新興技術イニシアチブ(iCET)の第2回会合をインド・ニューデリーで開催した。
iCETは、2022年5月の米印首脳会談で合意した、先端技術分野における両国の産学官連携の緊密化を目的とした取り組みで()、2023年1月に第1回会合が米国の首都ワシントンで開催された()。
米印両政府が発表した今回の第2回会合の共同ファクトシートによると、両国は、イノベーションの最前線に立ち続け、両国とそのパートナー国に対して安全性・信頼性・価格競争力ある技術を提供するために、重要新興技術の共同研究・開発・生産において協力を拡大する方針を確認した。具体的には、(1)イノベーションエコシステム、(2)宇宙技術、(3)防衛技術、(4)先進通信、(5)バイオテクノロジーおよびバイオものづくり、(6)半導体サプライチェーン、(7)クリーンエネルギーおよび重要鉱物、(8)量子科学・人工知能・高性能コンピューティングの分野で協力を拡大する。そのうち(6)半導体サプライチェーンの分野では、国家安全保障上重要な電子機器用の半導体を共同設計・製造をするために米国の航空宇宙防衛企業ゼネラル・アトミクス(General Atomics)とインドの半導体製造企業3rdiTechが新たな戦略的パートナーシップを立ち上げることや、前回会合で立ち上げが発表された米国半導体工業会(SIA)とインドエレクトロニクス・半導体協会(IESA)の共同タスクフォースによる協業機会特定に向けた調査の進展など、民間主導の取り組みが示された。
また、両国は懸念国への機微技術やデュアルユース(軍民両用)技術の流出防止に向けた取り組みの重要性を確認したほか、特に民間宇宙分野における両国間の貿易・技術・産業協力に対する障壁の克服に尽力することを約束した。
共同ファクトシートで中国に関する言及はないものの、インドのシンクタンクのカーネギー・インディアでディレクターを務めるルドラ・チャウドリー氏は米国メディアの取材に対して、「率直かつ大胆に言えば、(iCETの)一番の目的は中国からのリスク軽減と多元化だ」と指摘しており(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版6月19日)、米国が中国との先端技術を巡る競争を念頭に、インドとの協力拡大を図る意図もうかがえる。
(葛西泰介)
(米国、インド)
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