第1四半期GDP成長率、3期連続で前期比0.3%
(スイス)
ジュネーブ発
2024年06月07日
スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は5月30日、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(注1)を前期比0.3%(季節、スポーツイベント調整後、注2)と発表した(プレスリリース、添付資料表1参照)。統計データが入手可能な1980年第2四半期以降の平均(0.4%)を下回った。卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業などのサービス分野が好調だった一方、製造業は前期のプラス成長からマイナスに転じた。
第1四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は、小売業の好調を反映して、前期比0.4%と堅調に増加した。主に食品・非食品への支出、住宅やヘルスケア関連の支出の伸びが大きい。自動車やIT、研究開発などへの投資の増加で3四半期ぶりに設備・ソフトウエア投資(0.8%増)がプラスに転じたことにより、国内最終需要は堅調だった。また、内需の伸びに沿って財貨の輸入は2.3%増と好調だった一方、中継貿易の減少などを背景に、財貨の輸出は3.3%減とマイナスに転じた。
産業別にみると、製造業は前期比0.2%減、うち化学・製薬業は0.9%減と、前期に引き続きマイナス成長だった(添付資料表2参照)。建設業は、建設・土木プロジェクトの売上高が増加した結果、0.3%増と増加した。電気・ガスなどのエネルギー関係は2.1%増で、工業部門で最大の伸びを記録した。今期のGDP成長の主な要因となったサービス部門では、業種によって成長にばらつきがあった。金融サービス業(0.2%減)やビジネス関連サービス業(0.3%減)はマイナス成長で、運輸・通信業は、工業部門の低迷により貨物輸送が緩やかな伸びにとどまったことから、横ばい(0.0%)だった。他方、宿泊・飲食サービス業(1.3%増)、医療・社会福祉サービス業(0.8%増)、公共サービス(0.2%増)は、それぞれの分野の過去の平均の伸びに近い成長を記録した。小売業(1.4%増)が平均を上回る伸びを記録し、卸売・小売業、自動車・オートバイ修理も1.3%増と、全体的にプラスの結果となった。
(注1)スイス国立銀行(SNB)は2023 年第1四半期(1~3月)に新たな統計調査を導入し、統計調査は国民経済統計のさまざまな計算過程で使用されるため、今四半期を含む今後数四半期の統計は後日、大幅に修正される可能性がある。
(注2)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えてスポーツイベント調整後の数値。
(深谷薫)
(スイス)
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