ドイツ連邦政府、ガソリンスタンドでのEV向け急速充電器設置の義務化を閣議決定
(ドイツ)
ミュンヘン発
2024年06月10日
ドイツ連邦政府は5月29日、ガソリンスタンド大手に対して、ドイツ国内のガソリンスタンドにおいて電気自動車(EV)向け急速充電器の設置を義務化する法案を閣議決定した。2028年1月1日から設置を義務化する内容で、同法案は今後、議会での審議・承認を経て施行される予定。
デジタル・交通省(BMDV)の2024年5月30日の発表によると、ドイツ国内で200カ所以上のガソリンスタンドを運営している約12社の大手企業が設置義務の対象となる。対象企業は2028年1月1日までに、全てのガソリンスタンドにおいて少なくとも1基の急速充電器を設置する義務がある。BMDVは、少なくとも150キロワット(kW)の出力がある充電器を急速充電器と定義した。既存の急速充電器がある場合、さらなる設置は不要。また、義務を果たさなかった対象企業に対する罰金制度を設ける予定。
なお、対象企業は自社が展開しているガソリンスタンドの最大50%において、当該ガソリンスタンドの周囲1,000メートル以内の場所に1基、もしくは別のガソリンスタンドで少なくとも2基を設置する場合は、急速充電器を置く義務を免れる。
連邦政府は2030年までに、バッテリー式電気自動車(BEV)を1,500万台普及させる目標を掲げた。目標達成に向けて、充電インフラの拡大が不可欠だ。BMDVの統計によると、ドイツ国内の公共用充電施設約11万5,000基のうち、約2万2,000基が急速充電器となっている(2024年4月時点)。今回の義務化により、急速充電器の数が約8,000基増加することが予測されている。
燃料・エネルギー産業協会(en2x)のクリスティアン・キュッヘン会長は、今回の義務化により、需要がない場所にも急速充電器が設置されるため、実際に需要がある場所での設置費用がなくなる、とコメントした。また同氏は、ガソリンスタンド大手は既に充電インフラの拡大を推進していると強調している(「ハンデルスブラット」紙2024年5月29日)。
(クラウディア・フェンデル、鷲澤純)
(ドイツ)
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