2024年4月から適用の法定最低賃金を発表
(モザンビーク)
マプト発
2024年06月05日
モザンビーク政府は2024年5月22日付官報で、2024年の民間セクターの法定最低賃金を公布した。モザンビークでは例年、3月から4月にかけて、労働者団体、経営者団体と政府との間で法定最低賃金に関する交渉が行われ、政府承認の後に公布される。2024年は4月30日に閣僚評議会によって承認され、2024年4月1日にさかのぼって適用される。
法定最低賃金は、農業・畜産業・林業、鉱物資源採掘業など大別された8つの分野で、特定の産業部門や、企業規模によって細分化され、計18部門において定められている(添付資料表参照)。2023年に制定された法定最低賃金と比較し、すべての部門において最低賃金は上昇し、全体平均では9.7%上昇した。鉱物資源採掘業の大企業に適用される最低賃金が最も上昇幅が大きく、前年比18.0%増の1万4,183.80メティカル(約3万4,893円、1メティカル=約2.46円)となった。同産業は、モザンビークの主力輸出産業であり、石炭や天然ガス産業が含まれる。
法定最低賃金の上昇幅について、モザンビーク労働雇用社会保険省は、労働者、経営者ともに納得感のある水準ではなかったが、2023年の経済実績を考慮し、実現可能な上げ幅にとどまったと説明している。実際、モザンビーク統計局が2022年に実施した家計支出調査では、世帯当たりの月平均支出は都市部で1万2,548メティカル、農村部で6,680メティカルとなっている。
他方、モザンビークの主要な労働者団体であるモザンビーク労働組合(OTM)のダミアオ・シマンゴ事務総長は、同組合の推計で1世帯当たりの基礎的食料バスケット(注)の月額は約4万メティカルになるとし、モザンビークの高い物価を考慮すると労働者のニーズと最低賃金との隔たりは大きいと述べた(「ラジオ・モザンビーク」5月1日)。
(注)家計において最低限必要な食料。
(松永篤)
(モザンビーク)
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