コロンビア政府、財政政策指針を発表、財政規律の順守を強調
(コロンビア)
ボゴタ発
2024年06月24日
コロンビアの大蔵・公債省は6月14日、2030年までのマクロ経済と財政政策に関する政府見通・目標を取りまとめた中期財政フレームワーク(MFMP)を発表した。経済の停滞で徴税見込みを修正する一方、財政支出を削減し財政規律を順守するとの方針が示された。
同フレームワークによるマクロ指標の見通しでは、2024年のGDP成長率を予算編成当初の1.5%から1.7%に上方修正し、2025年以降は3.0%程度の成長率が続くものとしている。また、消費者物価上昇率については、2024年末で5.3%、2025年末は3.2%とし、2025年には中央銀行の目標値内に収まるとした。経常収支については、2024年にGDP比で2.6%赤字の予想だが、中期的には再工業化やエネルギー転換が進むことで生産の高度化、非伝統産品輸出、サービス輸出の増加を促し、2.3%まで改善するとみている。なお、対外部門の赤字は外国直接投資により補完されると説明している。
一方、GDP比の財政赤字額は、前年の4.3%から2024年は5.6%に増加する予想となっている。ただし、景気低迷に伴いGDP比徴税額が前年の16.7%から15.4%に低減する見込みであるため、基礎的財政支出を前年の19.2%から18.0%に削減するとしている。この結果、2025年の財政収支赤字は5.1%に低減するとし、財政規律の厳格な順守を強調している。
リカルド・ボニージャ大蔵・公債相は6月10日、徴税の低迷による財政状況の悪化に伴い、一般予算の支出を20兆ペソ(約7,600億円、1ペソ=約0.038円)削減するため、各省に5.6%の支出削減を要請した。
徴税の回復には経済回復がカギとなるが、国家統計局(DANE)が5月に発表した2024年第1四半期のGDP成長率は0.7%(前年同期比、季節調整前)と低迷している。最終消費が0.4%、輸出が0.7%と改善したが、総固定資本形成がマイナス6.5%と後退している。産業別では、農業(5.5%)、芸術・エンターテインメント(5.3%)、行政・防衛(5.2%)などの成長が顕著だったが、商業(マイナス0.8%)、製造業(マイナス5.9%)で回復が見られなかった。一方、DANEが6月18日に発表した2024年4月の月間経済活動指数(ISE)は前年同月比5.5%増と、直近では見られなかった大幅な伸びを記録した。第一次産業が10.2%増と際立っているが、製造業、建設業といった第二次産業も2.9%増と1年以上続いていたマイナスを脱し、第三次産業も5.1%の大幅増になった。このことから、停滞期を抜け回復サイクルに入ったとの肯定的な見方も出始めている。
(豊田哲也)
(コロンビア)
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