デジタル企業に対する税制優遇措置、MDECが申請受け付けを開始
(マレーシア)
クアラルンプール発
2024年06月10日
デジタル省傘下のマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)は5月31日、マレーシア・デジタル(MD)企業を対象とした新たな税制優遇措置の申請受け付けを開始した(MDECプレスリリース)。MDは、マレーシアのデジタル経済発展に向けたイニシアチブとして、従来のマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)を置き換えるかたちで2022年7月に立ち上がり、一定の要件を満たした企業にはMDステータスが付与される(ブラック ジャック やり方、ジェトロ「外資に対する奨励>各種優遇措置」参照)。MDECのプレスリリースは、MD企業が活用すると想定される最先端技術として、人工知能(AI)、サイバーセキュリティー、ブロックチェーン、高度ネットワーク接続などを例示した。
この新たな税制優遇措置は、2024年国家予算にもひもづいた、デジタル省と財務省による共同の取り組み。MDECのマハディール・アジズ最高経営責任者(CEO)が3月25日に、MD企業に対する新たな優遇措置を発表することを明らかにしていた。具体的には、デジタル企業を「新規投資」企業と「拡張投資」企業に分類した上で、知的財産(IP)分野と非IP分野の双方の収入に対する法人税の軽減税率、もしくは投資税額控除(ITA)を適用する。ジェトロが6月7日にMDECに確認したところ、MDステータスと今回の税制優遇措置とは別の取り扱いで、既にMDステータスを保持している企業も、税制優遇を受けるためにはあらためて申請を行う必要がある。MD企業に対し、自動的に今回の優遇措置が適用されるわけではない。
マハディール氏は「MD税制優遇措置は、マレーシアをASEANにおけるデジタルハブとして確固たる地位に押し上げ、最新の経済ニーズと国際的なベストプラクティスにも対応させる画期的な制度」と自信を見せた。マレーシアへデジタル投資と人材を誘致することで、活気あるデジタルエコシステムの構築、高付加価値雇用の創出、研究開発の促進、最先端技術の国内経済への統合を実現したい考えだ。
MDECによれば、2024年4月末時点でMDステータスを取得済みの企業は5,000社を超える。MDECが支援した2023年のマレーシアへのデジタル投資額は、当初目標としていた300億リンギを大幅に上回る462億リンギ(約1兆5,246億円、1リンギ=約33円)に上った。税制優遇措置の詳細、申請要件、ガイドラインなどは、MDECのウェブサイトで確認できる。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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