G7首脳、開発途上国に対するインフラ投資の加速を確認
(米国、イタリア、日本、ウクライナ、ロシア)
ニューヨーク発
2024年06月17日
米国・イタリア両政府は6月13日、イタリア・プーリアで開催の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて、開発途上国に対するインフラ支援の枠組み「グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)」のサイドイベントを開催した。米国のジョー・バイデン大統領、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、日本の岸田文雄首相などG7各国首脳のほか、世界銀行のアジェイ・バンガ総裁、民間企業幹部などが参加した。
PGIIは、2022年にドイツ・エルマウで開催されたG7サミットで立ち上げが発表された枠組み(G7、ブラック ジャック ディーラー)発表、5年間で6)。中国が主導する開発途上国に対するインフラ支援の構想「一帯一路」に対抗する狙いがあるとみられている。PGIIの下で、G7各国は2027年までに民間企業の投資を含めて合計6,000億ドルを拠出するとの目標を掲げており、このうち米国は2,000億ドル、EUは3,000億ドル、日本は650億ドルなどの個別目標を表明している。これまでに、アフリカにおけるロビト回廊、フィリピンにおけるルソン回廊、中央アジアにおける中央回廊、インド・中東・欧州経済回廊などの広域インフラ整備プロジェクトが発表されている。
米国ホワイトハウスが同日公表したファクトシートによると、同イベントでG7各国首脳はPGIIを通じて持続可能なインフラ投資を加速させることへのコミットメントを再確認したほか、有志国・民間部門・国際開発金融機関などと連携する重要性を議論した。また、バイデン大統領とメローニ首相の共同議長声明によると、イタリアが米国・EU主導のロビト回廊のコンソーシアムに参加し、鉄道網の整備プロジェクトに対して3億2,000万ドルを拠出すると表明した。
同イベントで、バイデン大統領は「G7サミットは、クリーンエネルギー、経済開発、国際安全保障、食料安全保障、秩序ある移住、デジタル連結性などのさまざまな問題に取り組んでおり、インフラはこれら全ての問題解決を前進させるための中心的存在だ」と述べ、PGIIの成果と意義を強調している(ホワイトハウス発表資料参照)。また、岸田首相は、アフリカやアジアにおける連結性の向上にかかわる日本の取り組みを紹介した上で、2025年に日本で開催予定の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)について言及し、「G7とPGIIの成果をTICADにもつなげ、質の高いインフラの力をもって、引き続きアフリカの成長を強力に後押ししていく」と述べた(外務省発表資料参照)。
なお、バイデン大統領は、G7サミットにあわせて各国首脳と会談を行ったほか、6月13日にはウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と首脳会談を実施し、米国・ウクライナ2カ国間の安全保障協定を締結した。協定文では、今後10年間、ウクライナがロシアの侵略から自国を防衛するために必要な武器、装備、訓練において米国が支援することなどが明記されている。ただし、米国メディアのCNNは、同協定は「行政協定(executive agreement)」であり、将来の米国大統領の行動を必ずしも拘束するものではない、と報じている(CNN6月13日)。
(葛西泰介)
(米国、イタリア、日本、ウクライナ、ロシア)
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